「問題文が読めない」子どもに必要なものとは? 子どもの読解力を上げるには、家庭での「会話」がカギ
だからこそ、なるべく早い段階でリーディングスキルテストを受けて、自分の「シン読解力」のレベルを自覚するべきだと思います。
「読めない」場合はトレーニングをして「シン読解力」を磨く。「読める」とわかったら自信を持って前に進める。
動画に慣れ、表情の動かない子どもたち
僕も授業をYouTubeで配信していますが、動画に慣れてしまった今の若い世代は、視聴覚文化の中にいます。そのほうが情報授受が楽だからです。メモすら取らなくていい。
だって、わからなかったら動画を見直せばいいだけですからね。
コロナ禍のオンライン授業は、如実に子どもたちにその傾向を強くしてしまいました。対面型の授業に戻っても、画面越しに見ているような受け身の授業態度です。
特に、表情が動かなくなってしまいました。授業は子どもたちの表情の変化を見ながらライブで行っていきますが、コロナの直後は子どもたちの表情が動かず、楽しいのかどうなのかわからない。
僕は彼らの反応を見て、理解していると思ったら次に進む。おや、わかっていないなと思ったら、もう一度、今度はよりわかりやすく説明し直す。それができないで授業が進むと、当然、子どもたちの理解度が落ちてしまう。読み取る力も落ちてきますよね。
数年経って、最近少しずつ生き生きとした表情が戻りつつあって、ほっとしています。
つまり、視聴覚文化のど真ん中では、『シン読解力』の中で新井先生がおっしゃっている「認知負荷」を小さくするトレーニングや習慣づけが減ってしまうということです。
音読や視写(板書を見て手書きで写す)など、あまりにシンプルなトレーニングですが、それを実践した小学生たちの成績向上の実績を見て、とても驚きました。
トレーニングというほどのことではありませんが、例えば、おじいちゃんと孫のように世代の異なる人が日常的に会話をしたり、一緒に本や新聞を読んだりする。また、便利なスマホは使わずに手書きで文字や日記を書いたりする。
今の楽な文化から少しだけ離れて、ちょっとしんどいことをやってみることも重要なのかなと思いました。
トレーニングをするにしても、日常的な工夫をするにしても、読解力を育てるのは、やはりしんどいことだと思います。
現代文を教えていて、問題が「読めない子」に必要だと思うのは、成功体験です。「俺にもできた」「自分でもできるんだ」という快体験がないと、人間は動きません。
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