「いつヤバいの?」「今でしょ」 東大合格レベルに到達した「ChatGPT」に奪われかねない"予備校の未来"

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「AIによって奪われる仕事」は以前から話題になってきたが、その性能が東大合格レベルまで向上してきたことで予備校の未来が危ぶまれている(写真:zon/PIXTA)
生成AI(人工知能)「ChatGPT」の性能が東京大学の入学試験に合格できるレベルに達した。これは、ChatGPTが大学入試のチューターになれることを意味する。今後、さまざまのアプリが登場するだろう。これによって、受験勉強の費用が低下し、低所得家計の子弟にとって可能性が広がることが期待される――。野口悠紀雄氏による連載第143回。

1年前に比べて何が変わったのか

今年の入試シーズンには、ChatGPTが東大入試に合格できる水準になったことが話題になった。AI導入コンサルティング企業のLifePromptによると、ChatGPTに2025年度大学入学共通テストを解かせたところ、正答率は91.3%となり、昨年の66.9%から大きく向上した。例年の共通試験のボーダーを参考にすると、これは東大合格レベルだという。

全科目で前年度より得点が上昇したが、国語と数学の点数の伸びがとくに大きかった。数学1Aでは、2024年度の正答率35%から80%へと急上昇した。

2024年5月5日付の日本経済新聞の記事(「数学が1点では…ChatGPT、英語8割超も『東大不合格』」)では、予備校やLifePromptと協力して、東大の入試問題をChatGPTに解かせた。

英語は120満点で106点と高得点、なかでも英作文や英訳問は満点、リスニングもほぼ満点だった。しかし、数学はわずか1点だった。ChatGPTの数学的推論能力は極めて低かったのである。

したがって、この1年間で急速に進歩したのは数学的推論能力ということになる。オープンAIの「o1」など、「推論モデル」と呼ばれるAIモデルが従来とは異なるアプローチを行ったため、能力が急速に高まったのだ。

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