中部電力、自由化控え顧客囲い込みに本腰 dポイントとも提携、家庭向けガス参入も
同社の家庭向けWEB会員サービス「カテエネ」では、電気使用量の見える化をはじめ、節電に役立つコンテンツなどを閲覧することでポイントがたまる。ためたポイントは商品やギフト券、電子マネーなどと交換が可能。2016年4月からは1ポイント=1円として、電気料金の支払いに充てられるようにする。最大で年1000ポイント程度たまるという。ポイントの交換先も、これまでのセブン・カードサービス(nanaco)など3社に、NTTドコモ(今年12月開始のdポイント)や名古屋鉄道など5社が加わる。
現在、徐々に導入を進めているスマートメーターの活用では、あらかじめ設定した電気使用量を下回る場合に、家族にメールで知らせることで、離れた場所に住む高齢者の見守りができる業界初のサービスも始める。「暮らしや地域に密着したサービス」(勝野社長)を追求することで守りを固める戦略だ。
家庭用ガス参入も準備
一方、東電がソフトバンクなどとの提携を通じて具体策を詰めている携帯電話料金などとの「セット割引」については、今後の検討課題とした。今回ポイント提携したNTTドコモや、法人向けサービスで提携するKDDIとの間で、「セット割引」を含む販売提携への発展を模索していく意向だ。
また、事業領域拡大という「攻め」の戦略では、首都圏エリアでの事業拡大と、家庭用などへのガス販売参入を柱に挙げたが、具体策はやはり今後の検討課題とした。中部電は上流の燃料調達や発電所新設・更新の分野で東電とアライアンスを組んでいる反面、下流の小売り分野では東電と互いに攻め合う関係にある。2013年には三菱商事から新電力のダイヤモンドパワーを買収し、首都圏の高圧電力小売りに参入しているが、今後、ガス・通信会社などとの販売提携を含め、首都圏の低圧分野にどうやって進出していくかが注目される。
一方のガスについては、2017年4月に自由化される家庭用の都市ガスの小売り事業参入を視野に入れたもの。これまで都市ガスの小売り事業参入については保安面などの問題から消極的とも見られていたが、「電気とガスとのワンストップ販売には顧客のニーズがあり、しっかり応えていきたい」(勝野社長)と前向きな姿勢を鮮明にした。中部圏の都市ガス会社のグループ化を含め、参入の具体策を詰めていくと見られる。今後は“囲い込み戦略”の進展にともない、全国的な電力・ガス業界再編の機運が高まっていく可能性もありそうだ。
中部電力の株価・業績 は「四季報オンライン」で
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら