「中古でもC-17」石破茂首相が空自輸送機に注文したのは、使えない国産輸送機が抱える欠陥にあった

✎ 1〜 ✎ 73 ✎ 74 ✎ 75 ✎ 76
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

屁理屈であることは、滑走路外での離着陸を求めないことからも補強される。戦時に狭小飛行場での運用が必要なら、道路や荒地からの離着陸も検討すべきである。だが、それは求めていない。その項目をいれると砂漠でも南極でも離着陸できるC-130に負けてしまう。

さらに4つ目として高速性能を加えてもよい。そのためにジェット機が必要と結論づければC-130やC-160といったプロペラ機は排除できる。

なぜ空自は性能に無関心なのか

ただし、こちらは技術側の自己満足にも見える。防衛省の技術組織や、日本の航空機製造業は自分たちが作りたいものを作ろうとする「幼児性」があり、実用性よりも技術的高度性を追求する傾向もある。その傾向からすればさほどの思慮はない。「プロペラ機よりもエライから」ジェット機とした程度である。

なお、ジェット化で燃費も悪くなった。同じ速力ではプロペラ機の方が効率がよいからである。

そして、空自はこの性能設定を呑んだ。国産機開発を目的とした不自然な仕様設定を拒絶しなかった。むしろ開発や製造を推進した。それはなぜか。

まずは、航空機製造業への忖度である。空自は装備品導入では防衛産業の言うがままだ。陸海自衛隊のように「それでは使命は果たせない」と拒否することはない。

さらに航空輸送にも輸送機にも無関心である。本来なら航空輸送は重要任務となる。空軍の任務は制空、偵察、攻撃、空輸の4つ、英米仏の空軍はこれに核抑止を加えた5つである。航空輸送はそれまでの地位を占める任務なのだ。

ただ、空自は無関心だ。空自の実態は防空軍であり、空軍ではないためだろう。自分たちの任務は防空、つまりは自国領域における制空任務だけと心得ている。だから航空機も戦闘機以外にはまったく興味を持っていない。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事