屁理屈であることは、滑走路外での離着陸を求めないことからも補強される。戦時に狭小飛行場での運用が必要なら、道路や荒地からの離着陸も検討すべきである。だが、それは求めていない。その項目をいれると砂漠でも南極でも離着陸できるC-130に負けてしまう。
さらに4つ目として高速性能を加えてもよい。そのためにジェット機が必要と結論づければC-130やC-160といったプロペラ機は排除できる。
なぜ空自は性能に無関心なのか
ただし、こちらは技術側の自己満足にも見える。防衛省の技術組織や、日本の航空機製造業は自分たちが作りたいものを作ろうとする「幼児性」があり、実用性よりも技術的高度性を追求する傾向もある。その傾向からすればさほどの思慮はない。「プロペラ機よりもエライから」ジェット機とした程度である。
なお、ジェット化で燃費も悪くなった。同じ速力ではプロペラ機の方が効率がよいからである。
そして、空自はこの性能設定を呑んだ。国産機開発を目的とした不自然な仕様設定を拒絶しなかった。むしろ開発や製造を推進した。それはなぜか。
まずは、航空機製造業への忖度である。空自は装備品導入では防衛産業の言うがままだ。陸海自衛隊のように「それでは使命は果たせない」と拒否することはない。
さらに航空輸送にも輸送機にも無関心である。本来なら航空輸送は重要任務となる。空軍の任務は制空、偵察、攻撃、空輸の4つ、英米仏の空軍はこれに核抑止を加えた5つである。航空輸送はそれまでの地位を占める任務なのだ。
ただ、空自は無関心だ。空自の実態は防空軍であり、空軍ではないためだろう。自分たちの任務は防空、つまりは自国領域における制空任務だけと心得ている。だから航空機も戦闘機以外にはまったく興味を持っていない。
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