Suicaの牙城を崩すか? 専用カード不要で乗車可能、海外客対応とコスト削減で急拡大する鉄道タッチ決済戦略

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
東急電鉄渋谷駅に設置されたタッチ決済・QRコード対応の改札機(デモ場面を筆者撮影)
この記事の画像を見る(6枚)

鉄道の乗車風景において、日本ではすでにSuicaなどの交通系ICカードによる「かざして乗る」文化が定着している。しかし近頃、Visaなど国際ブランドが提供するタッチ決済を導入する鉄道やバスが相次いでいるのはどうしてだろうか。

専用カードを持たなくてもよく、海外発行のカードにも対応しやすいという特長により、私鉄や地方交通での導入事例が急激に増えているのだ。インバウンド(訪日外国人)への対応やコスト削減、利用者の利便性向上といった思惑から、各社が模索するタッチ決済の最前線を探ってみたい。

今さら日本でタッチ決済が再注目される理由

Suicaなどの交通系ICカードは、日本で“かざして乗る”スタイルを定着させた草分け的存在だ。都心を中心に多くの利用者を抱え、切符を買う手間を大幅に省いてくれることから、いまや日本の鉄道に欠かせないインフラとなっている。

それでもなお、Visaなど国際ブランドによるタッチ決済が改めて注目される背景には、“オープンループ”という仕組みがある。Suicaのような交通事業者発行の専用ICカード(クローズドループ)とは異なり、世界中で使われているクレジットカードやデビットカードを、そのまま改札で利用できる点が最大の魅力だ。

海外でも公共交通機関へのオープンループ導入は広がりを見せている。ロンドンの地下鉄やニューヨークの地下鉄など、これまでクローズドループが主流だった都市でも、国際ブランドのタッチ決済が普及し始めた。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事