【EV時代へのアンチテーゼ】12気筒エンジンを諦めないフェラーリの意地、新型「12チリンドリ・スパイダー」に見た多様性の本質

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12チリンドリ スパイダーの走行シーン
12チリンドリ・スパイダーの走行シーン(写真:Ferrari SpA)

フェラーリがつねにスパイダーモデル(オープンカーの呼称)を手がけているのは、とくにアメリカ西海岸やモナコなどに住居を持つ富裕層のため、と言われてきた。富裕層にはクローズドボディに比べ、オープンモデルのほうが人気も高いのだ。

理由は、3つほど、すぐに思いつく。1つ目は、風が爽快であること。2つ目は、よりエクスクルーシブ性が高いこと。3つ目は、オープンにすると乗っている自分(たち)を見せびらかすことができること。ここが匿名性を重んじる日本と異なる点だ。

実際に走っていると手を振られることも多く、こちらも振り返す。欧米でよく遭遇する、よい意味での路上のコミュニケーションは、このカッコいいスパイダーだから機会も多いように思う。もうひとつ、少年たちに遭遇すると皆、笑顔でもって、右腕のひじを直角に曲げて、こぶしを上下させるジェスチャーをする。「速く走ってー」という意味だ。

圧倒的なトルクのV型12気筒エンジン

ロカ岬の灯台と12チリンドリ・スパイダー
ロカ岬の灯台と12チリンドリ・スパイダー(写真:Ferrari SpA)

エンジンはごく低回転域からトルクがたっぷり出て、発進したとたんに速度違反で警察につかまりそうなスピードに達する。そこから一気にレッドゾーンまで勢いよくまわっていく。ロカ岬周辺の観光ルートでは、あっという間にとてつもない速度に達してしまうため、危険すぎて自粛せざるをえなかった。

わかったのは、相当にフレキシブルな走りができるということ。ステアリングは期待どおり正確で、思うようにクルマを動かせる。サスペンションは電子制御で、いくつものドライビングスタイルを受け入れるよう調整されているため、高速や街中では姿勢をフラットに保ってくれるうえに、路面の凹凸を丁寧に吸収するので、期待以上に快適だ。

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