【幼少期の思い出はつくり変えられる?!】あなたの記憶はどこまで信用できますか?注意が必要な「後知恵バイアス」を解説

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一方、「衝突したとき」と聞かれたグループは50人中16人が「見た」と答えました。つまり、人間は聞かれ方によって答え方が変わったり、間違って思い込んでしまったりする可能性があります。

ですから、事故や事件の事情聴取、裁判の目撃証言など信ぴょう性が問われる状況では、聞き方や取り調べの方法を慎重に考えなければいけません。人は自分でも気づかずに記憶を書き換えて答えてしまう傾向があるのです。昔を思い出して、自分の経験や出来事を語る自伝的記憶があまりあてにならないといわれているのもこのバイアスによるものです。

幼少期の記憶はつくり変えられる

お伝えしたように、昔を思い出して、自分の経験や出来事を語る自伝的記憶があまりあてにならないのもフォルスメモリと無縁ではありません。自伝的記憶とは、「人が今まで生きてきた中での個人的な経験の記憶」を指します。そして、この自伝的記憶は書き換えられがちです。意図せずに、記憶を再構成する傾向が見られます。

大学生を対象にした実験があります(Huffrick et al.(1995))。大学生の家族や友人に協力してもらって、幼少期の出来事の情報を収集しました。その上で大学生にインタビューを実施したところ、多くの実験参加者が本当は自分が体験していない出来事を追加して自分の経験だと説明しました。

これは、思い出話などを繰り返し思い出したり、家族から聞いたりすることによって、覚えていないものについても、「そんなことがあったなあ……」と自分が覚えている記憶と書き換えられてしまうからです。その結果、フォルスメモリを形成してしまいます。

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