スシロー新業態、「脱回転」に秘められた野望 東京以外へも出店、いずれは海外へ

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新業態を始めるにあたり、中目黒、赤坂見附、新橋と趣の異なる立地を選んだのも挑戦と言えるだろう。立地に合わせてメニューも若干変えている。中目黒は、平日はオフィスワーカー中心、休日になると地元の住民や家族連れが訪れる。赤坂見附は、落ち着いてゆっくりとお酒を飲みたいお客が多いという。対して新橋はもう少し幅広い客層が訪れ、女性を含めて1人客も多いそうだ。

赤坂見附店にはソファを備え付け

内装はシックにまとめている

内装はいずれもシックにまとめており、夜の時間帯には照明を落としてムードを高める。カウンターにワイングラスがきらめき、ソファが置かれた赤坂見附店は「寿司屋」というイメージとはほど遠い。

「私はスシロー勤務が長いので、寿司と言えばベルトが回る『ガチャガチャ』という音。そうした音がないだけで時間がゆっくり流れている気がするはずです。回転寿司以外の接客は今回が初めて。空間づくりと合わせて、心地よく過ごしていただける接客も模索していきます」(堀江さん)。

肝心の客入りについて聞いたところ、公開はできないとのこと。客単価についてもランチ1000円、夜4000円が「目標」だという。「まだまだ実験段階」という堀江さんの言葉は本音のようだ。

考えてみれば、寿司というシンプルかつ、伝統的な料理で勝負をするのはなかなか難しい。たとえば、最近の肉ブームに見られるように、流行に合わせて新しい商品を提供したとしても売れるとは限らない。長年、仕入れを担当してきた堀江さんも「お客様のニーズを捕まえるのは本当に難しい」と悩んでいるところだ。

それなら、オリンピックに向け、ロール寿司など外国人にアピールしやすいメニューが強みになるのではないだろうか。しかしこれも堀江さんに言わせれば「そうはうまくは行かない」とのこと。たとえばスシローの沖縄1号店が9月10日にオープンしたが「本土にない魚を使った寿司ができると思ったものの、『本土のネタが食べたい』というのが現地のニーズです」(堀江さん)。

大阪、九州、そして海外へ

ただ、堀江さんの、ツマミグイにかける期待は大きい。海外を含め、415店舗を展開するスシローのバックグラウンドや、創業以来31年間蓄積してきた寿司に関するさまざまなノウハウがある。それらを活かしながら、今までにできなかったことを実現させて行きたいという。

たとえば大きいのが仕入れの問題。スシローでは全店で提供することを考えれば、希少な食材を扱うことは難しい。その点、規模の小さなツマミグイなら数を確保できるかどうかを心配する必要がないため、扱える食材の幅が広がる。

「スシローに関しても、国内にまだまだ出店の余地がある。それと並行して、東京でツマミグイをはじめとする都心型のビジネスモデルが確立すれば大阪、九州などほかのエリアへもツマミグイを出店します。将来的には海外展開も考えられます」(堀江さん)。

一見しただけでは、ちょっとした思いつきで始めた新業態にも見えなくはない。しかし、そこには、世界へと撃って出ていく野望も秘められているのだ。

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