大型増資の発表を受けて、BYDの株価は(株式希薄化への懸念から)3月4日の香港市場で急落。同日の終値は339香港ドル(約6552円)と前日比約6.8%下落した。

今回の資金調達では、新株の売却収入から手数料等を差し引いた純調達額は約433億8300万香港ドル(約8385億円)となる。BYDはこれを「研究開発投資、海外事業投資、運転資金の補充および一般的な事業資金」に充てると説明しているが、業界関係者の間では、主に海外事業に投じられるとの見方が主流だ。
中国の資本規制を回避か
「BYDは海外で複数の工場建設を計画し、多額の資金を必要としている。だが中国政府の資本規制により、それだけの資金を国内から海外に持ち出すのは難しい。そこで(オフショア市場である)香港での新株発行(で得た香港ドル資金)により、海外事業の資金需要を賄うもくろみだろう」。野村証券の調査レポートは、増資のスキームについてそう分析した。

BYDの事業規模は、過去数年間に驚異的な成長を遂げた。同社の2024年の新車販売台数は約427万台に上り、2021年の約74万台の5.8倍に拡大。2023年まで中国首位だった上海汽車集団を追い抜き、世界の自動車メーカーのランキングでも第6位に躍進した。
今回の大型増資は、BYDが現在の成長ペースを維持・加速するための野心的な動きにほかならず、今後の成果が注目される。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は3月4日
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