ブラジル当局、中国「BYD」の工場建設に停止命令 建設作業員の労働環境が「奴隷同然」と問題視

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BYDはブラジル事業の急拡大を進めてきたが、工場の建設中断という思わぬ壁にぶつかった。写真はブラジルのBYD販売店(同社ブラジル法人のウェブサイトより)

中国のEV(電気自動車)最大手の比亜迪(BYD)がブラジル北東部のバイア州カマサリ市で進めていた新工場の建設が、現地の政府機関の命令により中断したことが明らかになった。

バイア州の労働監督当局は2024年12月23日、複数の関係機関で組織した合同調査チームがBYDの工場建設現場に立ち入り調査を行い、163名の建設作業員が「奴隷同然」の劣悪な環境で働かされていたと発表。これらの作業員を(保護して)ホテルに移送するとともに、BYDおよび工事の請負会社に対して工事の停止を命じた。

改善完了まで工事再開認めず

当局の発表によれば、163名の建設作業員は(BYDから工事を請け負っていた)中国の建設会社、金匠建設集団のブラジル法人に雇用され、工事現場内の4つの宿舎に居住していた。調査で判明した劣悪な労働環境が全面的に改善されるまで、当局は工事再開を認めないとしている。

ブラジル工場の建設中断は、BYDにとって思わぬ痛手だ。同社は2023年7月、カマサリ市に総額30億レアル(約767億円)を投じて年間生産能力15万台の乗用車工場を建設すると発表。ブラジル市場だけでなく中南米市場を本格開拓するための戦略拠点に位置づけている。

「わが社はブラジルの法律、中でも労働者の権利と尊厳を保護する法律を完全に順守する。それを改めて約束する」。BYDブラジル法人のシニア・バイスプレジデントを務めるアレクサンドレ・バルディ氏は、今回の“事件”についてそのようなコメントを発表した。

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