アマゾンの動画配信は、非常識の塊だった 「プライムビデオ」が他社サービスと違う理由

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マスで売れるものも知っているし、ニッチも知っている。ニッチ作品は、セルDVDやBDではプレミアが付いて高値だが、作品の配信権利自体は大して高くはないケースが多い。

プラムビデオの登場により、セルDVDやBDの売上が下がるかもしれない。だがそれは彼らにとっては、どうでもいいのだ。セルにしろストリーミングにしろ、すべてアマゾンでこなしてくれれば、彼らは利益を得る。

ニッチなもの、あるいはファン的要素の強い作品なら、ストリーミングで中身を見て、BDを買うというケースも出てくるだろう。そうなれば、新しい顧客を開拓したことになる。セルが単純に減るの増えるのというものでもなく、セルコンテンツの位置づけが変わってくるということである。

Fire TV の注目すべきポイントは

同時に発表されたアマゾンにおけるApple TV的なデバイス、 Fire TVは、24日から予約が開始された。発送開始は10月28日からだ。1万2980円だが、プライム会員であればクーポンが発行され、3000円引きとなる(26日まで)。

Fire TVはかなり薄型

このようなストリーミングサービスを受け取るボックスは、案外日本では定着していない。Apple TVは同社独自の動画ストリーミングサービスが日本でローンチしていないこともあり、これといった使い道のないデバイスとなってしまっている。

国内の多くのユーザーは、スマートフォンそのもので動画のストリーミングを利用しているケースが多いだろう。現在はそこで完結してしまっており、Google ChromeCastやMiracastといった機器・機能を使ってテレビに投影するという行為は、それほど一般的に普及しているわけではない。

Fire TVのポイントは4つあると、アマゾンの上級副社長であり、製品管理・事業開発担当のピーター・ラーセン氏は語る。高性能、高画質、簡単検索、豊富な品揃えだ。

中でも個人的に興味をそそられたのは、ASAP(Advances Streaming and Prediction)という機能だ。これはユーザーの嗜好を学習し、予測することでコンテンツをプリロードしておく。多くのサービスは、コンテンツを見ようと思ってサムネイルをクリックしても、実際に再生が始まるまでしばらく待たされるものだ。

だが発表会でのデモでは、サムネイルをクリックすると瞬時にコンテンツの再生が始まり、ストレスをまったく感じさせなかった。端末の発送は10月28日なので、それまで試せないのだが、モノが届いたら試してみたい機能である。

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