安全保障の専門家が語る「トランプ政権の今後」 同盟国重視の戦略から、米国中心の拡大戦略へ

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神保:こうした発想の根底にあるのは、バイデン政権が進めたようなIRA(インフレ抑制法)、あるいは多様性原則といったものが、極めて生産性を阻害するものだとする考えです。おそらくUSAID(アメリカ国際開発庁)は解体されるでしょうし、社会貢献活動系の財団に対する政府の補助も削減されるのではないでしょうか。

トランプ氏の“本音”と、日本はどう向き合うべきか

窪田:ちょうど第1次トランプ政権の時もアメリカで過ごしていました。トランプ氏が掲げる白人中心主義によって、アジア人はもちろん移民系の非白人の多くは不安を持っていました。白人でもリベラルな人はもちろんいますが、一方で「隠れトランプ」と言われるような現象もあって。アメリカ人と親しくしていても、本音と建て前は違うのだと、選挙戦を通して感じました。

神保:ある意味、トランプ氏だけは本音で話しているとも言えますよね。

窪田:そうなんです。今までだったら「お行儀が悪い」とされていたむき出しの欲望も、合理性だけで突っ走るようなやり方も、今回の復活によって認められてしまった。トランプ氏はますますパワーアップして持論を推し進めていきますよね。日本はそれにどこまで付き合うべきなんでしょうか?

神保:残念ながら、アメリカが日本に関与しないとなった瞬間に、戦争が起こってしまう可能性がある。どうしても抑止の“最後の砦”の部分は、アメリカの介入が重要になっています。ただ、よくメディアでは石破首相がトランプ氏にどれだけ気に入られるかといった視点で語られがちですが、そんな視点で外交を見るのはおかしなことです。そんな尺度ではなく、もっと大きな視点で日本がどういった方向に進むのかを議論していかなければならないと思います。

窪田:いずれにしてもトランプ政権の動向からは、今後も目を離せなそうですね。そして、国防や安全保障の観点から考えても、引き続き世界各国が近視の抑制対策に力を入れていきそうですね。神保先生、今日はありがとうございました。

(構成:安藤梢)

窪田 良 医師、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO

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くぼた りょう / Ryo Kubota

慶應義塾大学医学部卒業。慶應大医学部客員教授、米NASA HRP研究代表者、米シンクタンクNBR理事などを歴任。虎の門病院勤務を経て米ワシントン大学助教授。2002年創薬ベンチャー・アキュセラを創業。2016年窪田製薬ホールディングスを設立し、本社を日本に移転。アキュセラを完全子会社とし、東証マザーズに再上場。「エミクススタト塩酸塩」においてスターガルト病および糖尿病網膜症への適応を目指し、米FDAからの研究費を獲得し研究開発を進めているほか、在宅医療モニタリングデバイスや、ウェアラブル近視デバイスの研究開発を行っている。

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神保 謙 慶応義塾大学総合政策学部教授

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じんぼ けん / Ken Jimbo

慶応義塾大学総合政策学部教授、公益財団法人国際文化会館常務理事、アジア・パシフィック・イニシアティブ(API) プレジデント。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了(政策・メディア博士)。専門は国際政治学、安全保障論、アジア太平洋の安全保障、日本の外交・防衛政策。タマサート大学(タイ)で客員教授、國立政治大学(台湾)で客員准教授、南洋工科大学ラジャラトナム国際研究院(シンガポール)客員研究員を歴任。政府関係の役職として、防衛省参与(2020年)、国家安全保障局顧問(2018~2020年)、外務省政策評価アドバイザリーグループ委員などを歴任。主な著書に『検証安倍政権:保守とリアリズムの政治』(共著、中央公論新社、2022年)など多数。

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