邪道だった「パスタっぽいラーメン」ブーム化の訳 続々と店が増える一方で、有名店主からは警鐘も 

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「美味しいお店だけが残って他は淘汰されていく」

前述した通り、イタリアンやフレンチっぽいラーメンの中にはスープパスタと何が違うのかわからないものも多い。長坂さんの言うように、ラーメンっぽさというのは「カエシ」から生まれるのか?

「私の場合はカエシが決め手でしたが、まずパスタとラーメンではスープの作り方がまったく違います。ラーメンっぽさを出すためには、フレンチで使う100の技術を50ぐらいまでそぎ落とすことが必要でした。そのままだと複雑すぎてわかりやすさがない。

ズドン!という旨味を出すためには引き算が必要なんです。パスタの延長ではラーメンにならないでしょう」(長坂さん)

見かけは綺麗だが、ラーメンらしさに欠ける一杯は今でも数多いと感じる。筆者の印象では、インバウンド需要が増えたことで、こういったお店はむしろ増えているとも思う。

ラーメンとしての完成度と考えると、「これでいいのか?」と感じることも。イタリアンやフレンチっぽいラーメンは、今後こういうトレンドになってしまうのか。

店舗外観
「海老丸らーめん」の現在の客単価は2800円だ(筆者撮影)
できる人だけが知っている 「ここだけの話」を聞く技術
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「豚骨魚介や鶏清湯のブームと同じく、お店はどんどん増えていき、そのうち美味しいお店だけが残って他は淘汰されていくと思います。

料理はそんなに甘くはない。今のブームは本質的ではないと思います。

ただ、2万~3万円のコース料理を作っているシェフたちがラーメン界に来てくれるかどうかはなかなか難しいところです。

うちのようなお店の評価が上がっていくことで少しずつ動きが広がることを願っています」(長坂さん)

今のブームから定着に向かっていけるかどうか。今は「ラーメンの固定観念や垣根を壊している最中」と長坂さんは言う。

「海老丸らーめん」の現在の客単価は2800円。ラーメンの「1000円の壁」を壊すための大事な動きでもある。さらなるイノベーションの広がりに大きく期待したい。

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井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン

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いでたいちょう / Idetaicho

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」「AERAdot.」等の連載のほか、コンテスト審査員、番組・イベントMCなどで活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。東洋経済オンラインアワード2024にて「ソーシャルインパクト賞」を受賞。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。

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