夜の街で働く「副業キャバ嬢」がいなくなる日 "副業する人"を襲う「マイナンバー」の恐怖

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副業のキャバクラを辞めようとしている女性が増えている(イラスト:タテノカズヒロ)

門倉:確定申告はきちんとしなくちゃいけないなあ。サクラちゃんは個人事業主としてキャバクラの経営者から報酬を受け取っているわけで、毎月のお給料から10.21%の所得税が源泉徴収されているでしょ?

サクラ:ええ、確かに。

門倉:サクラちゃんは、年間の報酬から実際にかかった経費を差し引いて、自分で所得を計算して税務署に確定申告しないと。源泉徴収の額よりも年間の支払うべき税額が多い場合は、追加で所得税を納付しなくちゃいけないし、逆に少ない場合には還付金として戻ってくるよ。

なぜ税務署は気がつかず?

サクラ:そうなんだ。でも、なぜ今まで確定申告してなかったのに、税務署から何も言われなかったの?

門倉:それは実際上の問題として、税務署が確定申告をしていないホステスを特定することが難しかったからだと思うよ。今までの支払調書には、ホステスの住所と氏名しか記入する欄がなかったので、税務署はマンパワーの制約もあってホステス本人を特定しづらかったんだよ。

キャバクラの経営者は、年間50万円以上の報酬を支払っているホステスについては、報酬の支払調書を税務署にきちんと提出しているはずなんだ。2016年分からは支払調書にマイナンバーの記入欄が加わるから、税務署がそのマイナンバーを活用すれば、確定申告していないホステスを簡単に把握できるというわけさ。

サクラ:マイナンバーが始まると、必ず確定申告しないとダメだってことなのね。でも、なぜ確定申告をすると、私がキャバクラで働いていることが会社にバレてしまうの?

門倉:それは、住民税の支払額でバレてしまうのさ。サクラちゃんが税務署にキャバクラで働いた分の所得を確定申告すれば、その内容が税務署から(住民税を徴収する)サクラちゃんの住む市区町村に知らされるんだ。通知を受けた市区町村は、会社からの給与と副業所得とを合わせた合計額をベースにして、翌年に徴収する住民税額を決定する。

この住民税額はさらに、サクラちゃんが勤める会社に通知される。会社は市区町村がサクラちゃんの副業所得分も含めた総合所得を基に計算した住民税額を給与から天引きする。給与が同水準の同僚と比べれば明らかなことだけど、副業をしているためにサクラちゃんが支払う住民税額だけが上がってしまい、この時点で副業している事実が会社に発覚してしまうというわけさ。

サクラ:やっぱり女の子たちの噂は本当だったのね。会社に副業で水商売していることがバレてクビになったら困るので、年内でキャバクラの副業はやめようかな……。

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