夜の街で働く「副業キャバ嬢」がいなくなる日 "副業する人"を襲う「マイナンバー」の恐怖

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アンケート「マイナンバー制度開始に伴ってキャバクラの副業を辞めますか?」

筆者のアンケート調査では、サクラと同じように、マイナンバー制度導入のタイミングでキャバクラを辞めようと考えているホステスは全体の3割程度に上る。

辞める理由としては「会社に副業がバレてしまうから」という回答が圧倒的に多かったが、「家族にバレてしまうから」という回答も多かった。

キャバクラをはじめとする夜のお店では、学生が親に内緒で働いているケースや、結婚していて夫に内緒で働いているケースがある。本人が親や夫の扶養家族になっている場合、確定申告することで所得が明らかになるため扶養に入れなくなり、そこで家族にバレてしまうのだ。

2016年以降、人手不足は深刻化の可能性

マイナンバー導入に伴う「会社バレ」や「身内バレ」を恐れて辞めてしまうホステスが多いので、2016年以降、キャバクラやクラブなど夜のお店では人手不足が深刻化する可能性が高い。

では、副業としてキャバクラで働いていたホステスが、会社バレや身内バレを恐れてキャバクラを辞めることで、どれぐらいの経済損失が発生するのだろうか? 

警察庁の資料やネット上のデータをもとにした筆者の推計によると、全国のキャバクラで働いている女性の数は11万8960人(2014年末時点)。そのうち、本業で働いている女性が3万8000人。残りの8万0960人が副業だ。

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マイナンバー制度導入に伴うキャバクラの経済損失

アンケート結果に基づいて、副業者の3割が会社バレや身内バレを恐れてキャバクラを辞めると仮定すれば、その人数は2万4288人。ホステス1人あたりの平均年収(副業の場合)が200万円ぐらいなので、売上高の50%がホステスの報酬とすれば、年間約972億円もの経済損失が発生する。

副業離れはホステスに限った話ではない。ビジネスパーソン全体で副業離れが進む恐れもある。現状、会社の就業規則に反して、こっそり副業に従事しているビジネスパーソンは、筆者の推計では約276万人に上る。ビジネスパーソンの副業としては、家事・掃除や結婚式の出席、墓参りなど、各種の代行業が人気になっているが、こうした業界では将来的に人手不足が深刻化する可能性があるだろう。

週刊東洋経済10月3日号「直前対策 マイナンバー」特集より抜粋)

門倉 貴史 BRICs経済研究所所長

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かどくら たかし / Kadokura Takashi

BRICs経済研究所所長。エコノミスト。1995年慶應義塾大卒。シンクタンク勤務などを経て2005年から現職。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」などにも出演中。

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