知らないとヤバい「オンラインカジノ」真の問題点 精神科医が警鐘する「早い、多い、ヤバい」の危険

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当時の心境を彼に聞くと、「はじめのうちはそれまでやっていたネットゲームの延長のつもりだった。お金を賭けることについては、最初は大丈夫なのかな、とは思ったけど、あっという間に何十万円も手に入って興奮して、それから止められなくなった」とのことだった。

あっという間に自分のクレジットカードの限度額まで使い切った彼は、消費者金融で借金をしてオンラインカジノに注ぎ込むようになった。しかし、一介の学生が正規の金融機関で借りられる金額などたかが知れている。

彼はネット上で即日大金を貸してくれるという金融会社を見つけ、借金をするようになった。そこは闇金融であり、彼の借金はあっという間に数百万円に膨れ上がった。

恐ろしいのは最初にオンラインカジノに手を出してから、この状態に至るのに半年もかかっていないという点である。結局、このケースでは事情を知った彼の両親が借金の肩代わりをすることになった。

「早い、多い、ヤバい」の危険性

従来のギャンブルと比較して、オンラインカジノの恐ろしい点は、「依存状態になるまでの時間が早い」「総借金額が多い(パチンコ・パチスロや公営オンラインギャンブル利用者と比較すると、オンラインカジノ利用者の平均借金額は明らかに多い)」「犯罪行為などヤバい状況に巻き込まれるリスクが高い」の3点である。

図
(筆者作成)

社会経験に乏しく、ギャンブルにのめり込むことの危機感に欠けた若年者にユーザーが増加している(オンラインゲームから抵抗なくオンラインギャンブルに移行する利用者も少なくない)。

そしてオンライン上においては、合法ギャンブルと非合法ギャンブルの区別がつきにくい現状が、問題を引き起こしていると考えられる。

この記事を読んでいる皆さんも、「早い、多い、ヤバい」のオンラインカジノに、ゆめゆめ手を出さないように願いたいものである。

西村 光太郎 精神科医/久里浜医療センター 精神科病棟長

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にしむら こうたろう / Kotaro Nishimura

早稲田大学商学部から議員秘書、塾講師などを経て2012年東京大学医学部卒業。四国中央病院等での研修後17 年より久里浜医療センター勤務。2022年より同精神科医長。神奈川県立保健福祉大学非常勤講師兼任。アルコール、ギャンブル、インターネット・ゲーム依存症治療が専門

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