赤いきつねCM「グルメ漫画の表現内」なのか検証 「頬を染めて食うのはデフォルト」は本当か
このポストにも賛否あるが、グルメマンガで「頬を染めて食うのはデフォルト」というのは、2000年代以降においては基本的に正しい。多くの作品で取り入れられている手法であり、『きのう何食べた?』(よしながふみ/2007年~)のケンジも1話目からシロさんの炊き込みごはんを食べて頬を染めている。これを性的と見る人はいないだろう。
同様に、『しあわせゴハン』(魚乃目三太/2013~2017年)でも、おっさんがしっかり頬を染めながら一心不乱にラーメンを食べる。同作はセリフも擬音もないサイレント形式のグルメマンガ。表情豊かに食べるキャラクターたちの顔芸が雄弁においしさを物語り、背景のストーリーが泣き笑いを誘うが、これを性的と見る人もたぶんいないだろう。
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「服が破れて」のネタ元『食戟のソーマ』
ただし、リュウジ氏の言う「服が破れて」のネタ元と思しき『食戟のソーマ』(作:附田祐斗・画:佐伯俊/2012~2019年)の場合は話が違う。おいしい料理を食べたリアクションとして(男女問わず)イメージの世界で半裸もしくは全裸となり快感に悶える。これはどう見ても性的と言わざるをえまい。前後のセリフも性的なシチュエーションを想起させるものになっている(「口からビーム」のほうはアニメ版『ミスター味っ子』の演出を指すものと思われるが、原作マンガにはそういう描写はない)。
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グルメマンガの「おいしさ表現」においては、1)料理そのものの描写、2)オノマトペ(擬音語・擬態語)、3)食べた人のリアクションが3大要素といえる。料理描写とオノマトペはひとまず措くとして、ここで注目すべきはリアクションだ。
『包丁人味平』『クッキングパパ』『美味しんぼ』『孤独のグルメ』など、90年代ぐらいまでのグルメマンガでは、言葉によるリアクションが中心だった。しかし、2000年代に入りグルメマンガが爆発的に増加し多様化が進むとともに、言葉に頼らない表現も増えてくる。そのひとつが「頬を染める」などの表情描写だった。
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