赤いきつねCM「グルメ漫画の表現内」なのか検証 「頬を染めて食うのはデフォルト」は本当か

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おいしいものを食べて頬を染めて陶然となる表情を強調して描いた点では、『花のズボラ飯』(作:久住昌之・画:水沢悦子/2009~2015年)、『たべるダケ』(高田サンコ/2010~2013年)あたりが先駆けとなる。前者はオノマトペも独創的だ。

左・作:久住昌之・画:水沢悦子『花のズボラ飯』(秋田書店)1巻p13、右・高田サンコ『たべるダケ』(小学館)ビッグスピリッツコミックススペシャル1巻p12より

食べる女子の表情に力点が置かれた作品も

『オリオリスープ』(綿貫芳子/2015~2017年)では、四季折々の素材を使ったスープが艶のある絵で描かれる。調理過程や食べたときの表情も含めて、生命力にあふれた描写が読み手の食欲をそそらずにおかない。

綿貫芳子『オリオリスープ』(講談社)モーニングKC1巻p16-17より

一方、『クミカのミカク』(小野中彰大/2015~2018年)、『鳴沢くんはおいしい顔に恋してる』(山田怜/2015~2017年)、『肉女のススメ』(小鳩ねねこ/2015~2018年)といった作品では、料理描写よりもむしろ食べる女子の表情に力点が置かれているようにすら見える。

こうした表現の中に性的な視線が(作者や編集サイドの意図として)含まれている可能性は否定できない。少なくとも、言葉本来の意味で「官能的」、つまり感覚器官に訴えることを狙って描いているのは間違いないだろう。

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