スムーズに「上司の決裁」もらうなら夕方が狙い目 商談先への提案も「通りやすい」タイミングで

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この処理が毎日3万5000回も脳内で行われているのであれば、消耗してしまうのは当たり前ですよね。体を動かし続けていると疲れてしまうのと同じように、決断を続けていると脳が疲労し、徐々に決断の質が低下していきます。

決断することが多すぎて嫌になってしまう現象を「決断疲れ」と呼びます。これは、「決定麻痺」の前段階として陥りがちな状態です。

商品やサービスを売る企業にとっては、「決定麻痺」や「決断疲れ」を見越して、素早く、そして自分たちに有利な形で顧客に判断させることが大切になってきます。

その一方で、顧客側が自分の意思で「選ぶ楽しみ」も消費活動では必要な要素です。「大量のメニューの中から選ぶ楽しみ」と「迷ったときに外さない定番のおすすめメニュー」の両輪がそろっている町中華のお店は、まさにその2つの要素を兼ね備えているというわけです。

「選んでいる」のではなく「選ばされて」いる

コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授は著書『選択の科学』(文春文庫)の中で、アメリカの退職金積立(確定拠出年金・通称401k)に関する選択と決断の事例を紹介しています。

この制度は、退職後の生活費などをあらかじめ投資運用で準備するためのものです。勤務先の会社ごとに金融機関と提携して、さまざまな商品プラン(ファンド)を用意します。どれを選ぶかは、働く人が自分で自由に決めることができます。

このとき、金融商品の選択肢が多くなるほど、制度の加入者が減ることが明らかになっています。

(出所:『世界は行動経済学でできている』より)

※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

投資運用の選択肢の多さに圧倒されて加入の決断ができず、そのまま先送りして未加入のままという結果に終わっているのです。

また、多くの選択肢の中から選んだ人ほど、大きなリターンが期待しにくいプランを選んでいました。例えば、長期的に伸びそうな業界や会社の株式を探すのではなく、すぐに思いつきやすい会社の株を買うといった行動です。

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