【値下げシールに振り回されていませんか?】情報が氾濫する時代に身につけたい「認知バイアス」の教養。「アンカリング効果」を学ぶ

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アンカリング
直感的な思考により陥ってしまう認知バイアス「アンカリング」をご紹介します(写真:ささみだいすき/PIXTA)
ITの発展により情報は指数関数的に増えています。そんな時代だからこそ、思い込みに囚われないために「認知バイアス」の教養が必須です。思い込みの代表例である「アンカリング効果」について、認知心理学者の栗山直子氏に解説してもらいます。
※本稿は『世界は認知バイアスが動かしている』から一部抜粋・編集したものです。

認知バイアスの代表例「アンカリング効果」とは?

ここでは直感的な思考により陥ってしまう認知バイアスの代表例を紹介します。まずは「アンカリング」です。

アンカーは船を停留させるための錨です。錨を落とすと船は錨を落とした時点からロープの長さの範囲でしか動けなくなります。それと同じで、人間も意思決定に際して何らかの「初期値」を基準にして、そこからあまり離れて考えられないことで非合理的な決断をしてしまうことを「アンカリング」と呼びます。

「何を最初に提示されようが、無視すればいい」と思われるかもしれませんが、人間は最初に示された数字に非常に引きずられることを示したアリエリーら(2003年)の論文があります。実験参加者にまず社会保障番号の下2桁を書いてもらいます。00から99までの数字です。

その後、ワイン、チョコレート、コンピュータ機器などのいくつかの買い物のリストを提示します。あなたの社会保障番号の下2桁がこの商品の価格だった場合、それをあなたはいくらで買うかと尋ねます。

たとえば、社会保障番号の下2桁が34であれば、ワインの価格を34ドルと仮定して、いくら払って買うかと聞きます。この場合、社会保障番号の数字がアンカーとして私たちの意識に固定されます。結果的に実験参加者の社会保障番号の下2桁が提示する価格に強く影響していることがわかりました。

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