中国で「廃墟ビルばかり」新興企業はなぜ消えた? 中国のスタートアップ投資は「もう終わった」のか
スタートアップ企業は一か八かの奇想天外なビジネスが多いが、政府系ファンドは公金を浪費したとの批判を恐れ、こうしたビジネスには出資しない傾向が強い。シェアサイクルなどはその典型だろう。
シェアサイクルとはつまるところ、街中に大量の放置自転車を置いて回るようなビジネスだ。通行の邪魔になるとの社会的な面から見ても、大量の自転車という資産を用意しなければならないとの財務的な面から見ても、きわめてリスクの高いビジネスであった。
実際、中国でも先行した大手企業が潰れるなどの混乱が生じたが、今やそのビジネスモデルは世界に広がり、定着している。日本でもシェアサイクルや電動スクーターのシェアリングサービスはすでに定着した感がある。奇想天外なビジネスへの出資を控えると、こうした大きなチャンスを逃しかねない。
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悲観論の蔓延は経済低迷の要因
以前は、中国からは面白いビジネスアイデアが生まれると評価し、実際に現地を視察し、そのアイデアを模倣しようという起業家も少なくなかった。
孫正義は米国のインターネットビジネスを真っ先に日本に持ち込んだ経験から、海外で成功したビジネスモデルを日本でいち早く展開せよという「タイムマシン経営」を唱えた。一時期は中国から日本への「タイムマシン経営」が試みられていたが、そうしたダイナミズムは今や見る影もない。
「不動産危機を境に中国社会はまるで別の姿へ」と変わってしまったかのようだ。悲観論は人間の心理や社会のムードに属するが、その蔓延は経済低迷の要因となる。今後も景気はよくならないとの予想のもとに人々が行動し、投資や消費を抑制することで、本当に景気が悪化してしまう。
中国経済の先行きは暗い、その悲観的な予測が実際の未来となる予言の自己成就を招きかねないわけだ。
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