「日本が羨ましい」中国で公務員に応募殺到のワケ 「起業ブーム」はどこへ…日本化する"中国の今"

新卒一括採用がない中国では好景気であっても日本ほど内定率は上がらないとはいえ、コロナ禍以降は下落傾向にある(写真:Fast&Slow/PIXTA)
今、中国で何が起こっているのか。
過去20年にわたって、世界経済を牽引する存在だった中国経済。特に日本経済にとって、中国は製造拠点としても市場としてもきわめて重要な存在でした。しかし、不動産価格の低迷によって顕在化されてきた、中国経済の悪化。市民の中で不満や閉塞感が広がってきています。
今、空前の「公務員ブーム」になっているという中国。「わずか10年で『みんなが起業』をよしとする空気から『誰もが公務員を目指す』社会に変わった」と『ピークアウトする中国 「殺到する経済」と「合理的バブル」の限界』を執筆した梶谷懐氏と高口康太氏は指摘します。
本記事は、同書より一部を抜粋、加筆・編集してお届けします。
2024年の国家公務員試験の出願者は340万人
「下海」(シャーハイ)という中国語がある。公務員を辞めて民間で働くという意味だ。改革開放初期の1980年代以降、多くの人が「下海」した。クビを切られたのでやむなくという人もいれば、市場経済で稼いで金持ちになろうと前向きにトライした人もいる。「日本以上に資本主義国」と言われることもある中国、そのダイナミズムを象徴する言葉である。
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