「予算年度内成立」を野党が"容認"した舞台裏 夏の参院選をにらみ与野党が複雑怪奇な駆け引き

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だからこそ石破首相は、長らく「政敵」でもあった故安倍晋三元首相の最大の“汚点”とされる「森友学園問題」などを、改めて政治問題として取り上げることで、「脱安倍の姿勢をアピールしたい考え」(側近)とみられている。その延長線上とみられているのが、「同問題での財務省の関連文書の改ざんを巡る石破首相の動き」(同)だ。

森友問題で国会が大騒ぎとなる中、当時、財務省近畿財務局職員だった赤木俊夫さん(54)が、2018年に森友学園への国有地売却をめぐる決裁文書の改ざんを強いられたことを苦に自殺し、同問題の闇の深さを浮き彫りにした。これに関し、故赤木氏夫人の雅子さんは2021年8月、財務省側に、検察に任意で提出した文書などを開示するよう要求したが、財務省側は文書が存在するかすら明らかにせず、開示しないと決定した。しかし納得しない雅子さんは決定取り消しを求めて大阪地裁に提訴、1審は敗訴したが、2審の大阪高裁は今年1月30日、開示しないとの決定取り消しを国に命じる判決を下した。

「財務省文書改ざん」での大阪高裁判決に「上告せず」を決断したが

これを受け、かねてから雅子さんと連絡を取り合ってきたとされる石破首相は「上告しない」ことを決断した。このため、今後、関連文書が開示されれば、改ざんの経緯などが明らかになる可能性が広がる。

この決断について自民党内では「石破政権が発足して4か月あまりだが、ようやく石破首相が安倍時代の『負の遺産』に対して、きちんと整理をしていくという姿勢を示し始めた」と受け止める向きが少なくない。ただ、石破首相周辺からは「大きな関門が控える国会運営も考慮すれば、いたずらに自民内保守派の反発を招きかねない“脱安倍”への傾斜は危険すぎる」(官邸筋)との声もあり、「石破首相がどこまで踏み込めるかはなお不透明」(政治ジャーナリスト)というのが実態だ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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