「赤いきつねCM」露出ないのに"性的"と炎上のワケ 日清食品「どん兵衛」の"擬人化CM"は許されたが…
日清食品は過去の蓄積があったが、東洋水産にはそれがあまりなかったというのはあるかもしれない。「赤いきつね」「緑のたぬき」は、これまでも既存のアニメ作品とコラボしたりはしているが、今回のCM動画は単発で行われたものだ。
「どんぎつね」のような過去の文脈がないまま、人々にいきなり受容されたため、意図せぬ解釈を生んでしまった可能性はある。
いずれにしても、批判は多分に印象論に基づくもので、「どん兵衛」はいいが「赤いきつね」はダメ――という論理的な根拠は見いだしにくいのが実際のところだ。
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今回は、物議はかもしたが「成功」といえる
今回のケースは、東洋水産にとっては「もらい事故」といえるような出来事だったと思うのだが、今後、同社に限らず、広告を行う企業が注意しておいたほうがよい点を、いくつか見いだすことができる。
ひとつは広告・宣伝にアニメやキャラクターを活用した場合、意図しない解釈を呼ぶことがあるという点だ。
過去にも、日経朝刊に掲載されたマンガ「月曜日のたわわ」のキャラクターを使った全面広告が「性的だ」と炎上したことがあった。アニメ「鬼滅の刃」の交通広告では、女性キャラクターの露出の高さが物議をかもしたこともある。
特定の読者や視聴者に受容されているキャラクターやコンテンツでも、広告として不特定多数の目にさらされると、「不適切」と見なされることがあるのだ。
それでも、これまでインターネットでは、比較的自由な表現が許容されてきた。広告に関しても、テレビCMや新聞広告などのマスメディアではできない表現をインターネット上で行うことも多かった。逆に言えば、インターネットでは攻めた表現をしないと、効果が出にくいという側面もあった。
しかし、最近ではインターネットの世界でも、利用者が拡大すると同時に寛容度は下がり、炎上が起こりやすくなってきている。
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