KDDI「53歳新トップ」に試される"5Gの次"の戦い 競合は大胆投資を加速、変化の時代どう挑む?

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KDDIの髙橋誠社長(左)と松田浩路・次期社長(右)
KDDIの次期社長に就く松田浩路氏(右)。エンジニア出身の松田氏は語学も堪能で、数々の海外企業との交渉に携わったという(撮影:尾形文繁)

「AIの人たちと話をしていると、みんな若い。(オープンAIの)サム・アルトマンは39(歳)。若いハイパースケーラーの人たちと渡り合うためには、まずは若さ、そしてグローバルの語学力とセンスが必要だ」

KDDIは2月5日、髙橋誠社長(63)が退任し、先端技術事業を統括する松田浩路取締役執行役員常務(53)が4月1日付で新社長に就任すると発表した。髙橋氏は、代表権を持つ会長になる。

同社のトップ交代は7年ぶり。通信大手では、昨年6月に就任したNTTドコモの前田義晃社長(54)に続く、経営トップの大胆な若返りとなる。2月5日の会見で髙橋氏は、AIの普及で通信業界が大きな転換期にあると強調したうえで、松田氏を後継にした理由を冒頭のように説明した。

早い段階から“有力候補”だった

2000年に3つの通信会社の合併で誕生したKDDI。歴代社長は長期政権を築く傾向があり、10年おきに更新される通信規格の普及と軌を一にすると言われてきた。

在任期間は前々社長の小野寺正氏が9年半、前社長の田中孝司会長が7年半。小野寺氏が3G、田中氏が4G、髙橋氏が5Gの時代に対応し、巨額投資を要する通信事業を担う企業として、長期的な視野に立った経営判断が下されてきたともいえる。

松田氏は京大院工学研究科修士課程を修了後、1996年にKDDIの前身、国際電信電話(KDD)に入社し、エンジニアとして勤務。KDDIに移行後は、高速モバイルインターネットの技術開発や商品開発を経験し、3Gから5Gまでの通信規格のネットワーク構築や商用化に携わってきた。

経営戦略本部長や先端技術統括本部長など要職を歴任し、直近は取締役で唯一の50代だった。周囲に目立ったライバルはなく、早い段階から次期社長の有力候補とみられていたが、「松田氏はまだ若すぎる。髙橋氏がしばらく続投するのでは」(KDDI関係者)との見方もあった。

ただ実際には、髙橋氏によると、松田氏を後継者とすることは1年ほど前から検討していたという。複数の候補者から昨年秋ごろに絞り込み、同11月には松田氏に伝えていた。髙橋氏は「若い社長を作りたいと、ずっと思ってきた」とも明かし、早い段階から松田氏が本命だったもようだ。なぜ、このタイミングで世代交代を決断するに至ったのか。

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