KDDI「53歳新トップ」に試される"5Gの次"の戦い 競合は大胆投資を加速、変化の時代どう挑む?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

今後注目されるのは、松田氏の経営トップとしての方針だ。髙橋氏は「会社の持続的成長を牽引する『サテライトグロース戦略』を継承してほしい」と述べた。

「サテライトグロース戦略」とは、5GやAIを起点に、新事業などを展開する戦略だ。松田氏は「通信を真ん中に、周りの金融やエネルギーにすべて技術を植え付けていかないといけない。最近だと、ブロックチェーンやWeb3といった技術を注視している」と話し、通信を核に新たな事業領域の拡大戦略を継続する考えを示した。

KDDIの次期社長に就く松田浩路氏と、高橋誠・現社長
松田氏は経営戦略や新規事業を担いながら、髙橋誠・現社長(左)をそばで支えてきた(撮影:尾形文繁)

一方、エンジニア出身で技術的な視点を軸に持つ松田氏にとって、最も重要になるのは、AIを筆頭とする次世代通信戦略の策定だろう。松田氏は「5Gが本格期を迎え、AIをフル活用する時代が訪れている。当社の希有なデジタルデータ資産は新しい価値を創造する原動力だ。5GがAIでどうやって進化していくかがわれわれのメインテーマになる」と意気込む。

競合よりも“控えめ”な次世代戦略

KDDIは昨年4月、今後4年間で1000億円規模を投じてAI計算基盤を構築する方針を決定している。もっとも、競合他社と比べると、KDDIのAIや次世代通信の戦略は控えめにも見える。

NTTはAI需要の高まりを受け、ハイパースケーラー(巨大クラウド事業者)向けに世界でのデータセンター建設投資を加速させ、2023~2027年度に1.5兆円以上を投じる方針だ。光電融合技術を活用した次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」構想も掲げ、海外事業者を巻き込んだ社会実装を目指す。

ソフトバンクは大規模な国産LLMの構築に向け、AIに1700億円規模の投資を決定し、複数の大規模なAIデータセンターの計画を走らせている。アメリカのエヌビディアと協業し、AIと携帯電話基地局を融合させる「AI-RAN構想」も本格化させた。これは、松田氏が課題に挙げている、5GをAIで進化させていく考え方に近いともいえる。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事