内容も不毛である。整列では「横から見て、靴先が一直線になっているか」を重視する。そのため列両端から糸を引っ張って確認する。
下士官以下は「担え銃」で行進するが、その角度を一致させる矯正も無駄に厳しい。隊員の右前腕、右上腕、小銃に巨大な三角定規を当てて角度を修正している。参加しない教育課程の自衛官はその不毛さを「◯◯課程でよかった」と口々に言い合っていた。
なお、空自でも不人気だ。不毛な訓練に加えて序列の問題もあるという。朝霞で予行を何度も繰り返すうちに、前を進む海自の珍妙な旧海軍号令や挙動動作に混乱し引っ張られてしまう。それを毎度注意されるのでうんざりするとのことである。
そのような状況であれば、やり方は変えた方がよい。まず、頻度や実施水準は切り下げるべきだ。実施は国家的慶事に限定する。その際も、整列や行進の練習や予行はやらない。当日集合で本番のみの1発勝負にする。それなら1万人規模にしても負担とはならない。
また、実施するなら効果の最大化も図るべきだ。露出を増やすため、例えば皇居前広場で実施し、交通規制したうえで内堀通りを1周させる形はどうか。軍事パレードとは本来そういうものである。
近隣住民に迷惑をかける
航空基地祭にも改める余地がある。必要性は高く、それなりの効果は上げているが、近隣に迷惑をかける問題がある。
陸海空自衛隊の基地は一般開放を行う。これは基地周辺の住民や自治体の理解を得るためだ。基地は騒音を出す迷惑施設であり、塀の中で何をしているかは今ひとつわからない。そのような疑念を払拭するために年に1回、土日を選んで出入りを自由にしている。
これは成功している部類に入る。基地の中も外の社会と大差はないし、自衛隊員も会社員と変わらないことを知ってもらえる。仮に子弟が入隊を希望しても不安は抱かなくなる。負担もさほどではない。準備は1日だけ、実施も休日出勤1日ですむ。
ただし、航空基地に限っては別の問題がある。1つは渋滞だ。飛行機は愛好家というマニアが多いため、空自基地や海自の厚木や岩国、下総には10万人前後の入場者が押し寄せる。その結果、基地周辺は交通渋滞が起きてしまう。
もう1つは騒音だ。航空部隊はサービス精神が旺盛なので張り切る。陸海空全種類の飛行機集合や飛行展示を実施する。それ自体は悪くはない。
ただ、普段には出ない騒音や危険が発生する。他の基地飛行機の離着陸や展示のための低空飛行をすればそうなる。
これは矛盾している。近隣住民のための行事でありながら、その住民に迷惑をかけるからだ。
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