石破・トランプ会談「成功」評価に欠ける重要視点 目先の問題は回避されたが100点満点ではない
新たに付け加えられた「力または威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試み」という文言は中国によるものを指すことは明らかで、対中強硬姿勢を崩さないトランプ大統領と行動を共にするという石破首相の決意を示すものだろう。
その一方で、岩屋毅外相は昨年12月25日、中国籍の旅行者に対して滞在ビザの緩和措置を発表。10年間有効な観光用ビザの新設や団体ビザの期間緩和などを盛り込んだために、大きな批判を招いている。
ビザの緩和は富裕層を中心に訪日の機会を増やし、インバウンドの拡大を目的としたもの。しかし、自民党での審議を経なかったことで、党内は紛糾した。
日中間には、2023年3月にアステラス製薬の社員が北京で逮捕され、いまだ解放されていないなど、人道的な問題が残っている。さらに、経済安全保障上の懸念もある。
昨年9月に石破首相と自民党総裁の座を争った高市早苗・前経済安全保障担当相は、自身の動画チャンネル(高市早苗チャンネル)で「アメリカなどの同盟国では、中国の会社法や中国共産党の党規約から、日本と真逆の対応をしている」と発言。中国の会社法18条では「会社内に共産党の組織を設置して活動すること」が規定され、さらに「会社は党組織の活動に必要な条件を提供しなければならない」と義務づけていることを紹介した。
石破政権「あべこべ対応」の思惑
もっとも石破首相にすれば、トランプ大統領と会談する一方で、中国にもウイングを伸ばしてバランスをとったつもりだったのだろう。そして、トランプ大統領という安倍元首相の“親友かつ盟友”を取り込むことで、自分に批判的な岩盤保守層を沈静化しようとしたに違いない。
しかし、石破・トランプ間の友情は昭恵夫人による「安倍元首相」の介在によって成立したもので、実際には石破首相の片思いの要素がより強いように思われる。それを早く“両想い”にしたいというのが、石破首相の願いだ。
さっそく大阪万博の開会に合わせて4月のトランプ訪日説が浮上している。6月の東京都議選挙や7月の参議院議員選挙を前にしたこのスケジュールは、「政治とカネ」の問題にあえぐ自民党にとって望ましい。「(トランプ大統領に)また会って話したいと思った」という石破首相の思いは果たされるのか。
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