石破・トランプ会談「成功」評価に欠ける重要視点 目先の問題は回避されたが100点満点ではない

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石破首相もそれにあやかろうと早期の会談を望んだが、大統領就任前の面会は時期早々と判断され断念した。しかし、それがかえってよかったのかもしれない。石破首相にとって「トランプ対策」の時間は十分にとることができたからだ。

外交、防衛、経済、貿易、農業などの各担当者が入れ替わり立ち替わり、石破首相にレクチャーした。レクは休日にも行われ、のべ30時間以上に及んだという。石破首相にとってトランプ大統領との会談は、まさに政治生命を懸けたものだったに違いない。

首相として初の訪米には佳子夫人は同行しなかったが、昭恵夫人が「内助の功」を果たしたといってよい。もっとも昭恵夫人にすれば、トランプ夫妻との面談は日米首脳会談の「露払い」のつもりだっただろうが、トランプ大統領にとって“親友で盟友”の安倍元首相の夫人の言葉は、安倍元首相自身の言葉として受け止めたはずだ。

もちろん石破首相は現在のところ、トランプ大統領から安倍元首相ほどの信頼を得られたわけではないだろう。例えば、共同会見後にトランプ大統領が石破首相を顧みることなくさっさと会場を立ち去った点には、そうした「隙間」も感じられた。

それでも、新たな共同声明は「日米関係の新たな黄金時代を追求する」と題され、日米同盟を「インド太平洋およびそれを超えた地域の平和、安全、繁栄の礎としてあり続ける」と改めて確認した。そして「台湾」については、これまでよりも踏み込んでいる。

さらに踏み込んだ共同声明の中身

2021年4月16日に菅義偉首相とジョー・バイデン大統領(いずれも当時)のもとで発表された「新たな時代における日米グローバル・パートナーシップ」では、「日米両国は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」と簡単に触れていた。

その後、昨年4月10日に岸田文雄首相とバイデン大統領(いずれも当時)のもとで発表された「未来のためのグローバル・パートナー」では、「我々は、台湾に関する両国の基本的立場に変更がないことを強調し、世界の安全と繁栄に不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を改めて表明する。我々は、両岸問題の平和的解決を促す」とさらに詳しく、文字数は2倍強となった。

そして今回の石破・トランプ共同声明では、「両首脳は国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を強調した。両首脳は両岸問題の平和的解決を促し、力または威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みに反対した。また両首脳は国際機関への台湾の意味ある参加への支持を表明した」といっそう踏み込んだ。

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