石破・トランプ会談「成功」評価に欠ける重要視点 目先の問題は回避されたが100点満点ではない
例えば、昨年11月にペルーで行われたAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議では、ひとりスマホをいじる様子に批判が殺到。マレーシアのアンワル・イブラヒム首相やカナダのジャスティン・トルドー首相が声をかけてきたときに座ったままで対応したことでも、「マナー違反」の声が相次いだ。
そもそも政権発足時から、「身だしなみ」についての批判が始まった。第1次石破内閣の集合写真では、「だらしない」「清潔感がない」との声が殺到した。また、石破首相がおにぎりを頬張り、食事をする動画に対しては、まさに「箸の上げ下ろし」についての苦情が相次いだ。
今回の訪米に際しても、「コートのポケットに手を突っ込んだまま」と指摘され、「トランプ大統領と会談する際の椅子の座り方」にまで細かくチェックが入れられた。
しかしトランプ大統領の歓迎ぶりは、こうした「石破いびり」を吹き飛ばすには十分だった。その背後に、昨年12月にトランプ大統領と会食した安倍昭恵夫人の存在が見え隠れする。
昭恵夫人が果たした大きな役割
トランプ大統領は7日の記者会見で、「安倍晋三元首相は、石破氏のことを高く評価していた」と述べた。だが、安倍元首相と石破首相は犬猿の仲だったというのは有名だ。
さらに言えば、首相在任中の安倍元首相がわざわざトランプ大統領に、石破首相について言及したとは思えない。当時の石破氏は、首相の座から遠い存在とみなされていた。
にもかかわらず、トランプ大統領から石破首相に対して好意的な言葉が発せられたのは、昭恵夫人から石破首相について聞いたからに違いない。昭恵夫人は昨年12月にトランプ大統領夫妻と会食し、安倍元首相をしのぶとともに、以前からの親交を温めた。
ちょうど石破首相の訪米時期についても、話題になっていたときだった。安倍元首相はトランプ大統領が2016年11月8日に初当選したわずか9日後、就任前のトランプ氏と私邸で面談した。45分間の予定が1時間半にも及び、個人的信頼関係は確固たるものになった。
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