マタハラで傷ついても「退職」だけは避けよう 弁護士が語る、被害者が陥る「ドミノ倒し」

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「ポイントは、妊娠や出産を『契機として』行われた降格などの不利益取扱いは、原則として違法であることを明言したことです」。本人の自由な意思による承諾や、業務上の必要性が高く法の趣旨に反しない特段の事情がある場合といったわずかな例外を除いては、違法となることを確認した意味も大きいという。

この最高裁判決が、今後のマタハラ裁判にも影響を及ぼす可能性が高いそうだ。「あくまでも感覚ですが」と前置きしつつ、新村弁護士は、育児休業後の職場復帰を拒否される案件が増えつつあると感じている。

たとえば、ある女性の場合、所属部署で人余りの状況になったことを理由に、会社から育児休業後に復職せず、退職するよう言われた。本人は復職を希望しているが、会社側は金銭での解決をもちかけて、何とか退職させたがっている。ほかにも、復職後にこれまでのキャリアとは別の部署へ配転し、自発的に退職するように促すケースがあるそうだ。

メモか録音で証拠を取ることが大事

「育児介護休業法10条は、『事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない』と定めています。育休は復職前提で取得するものですから、元の職場に戻すのは当然のことです」

なぜマタハラは起きるのか。新村弁護士は、「マタハラで法律違反をバリバリやってしまうのは、法律を知らないことが理由の1つにあげられます。たとえば、マタハラ研修を通じて、女性の権利や保護の内容について教育・啓発する必要があると思います」と指摘する。

また、日本の働き方も問題視する。「長時間労働と残業が当たり前の中で、男性と同じように働けない女性は使いづらい、と雇用側は考えがちではないでしょうか。男性でも介護のために早く帰る人もいるはずですし、さまざまな事情を抱える労働者を弾力的に受け入れる体制を追求しても良いと思います」

一方、マタハラの被害にあったら、どうすればよいだろうか。新村弁護士は「まずあきらめないことが大切。その上で、証拠を取ること。メモか、できれば録音。あと、早めに弁護士や各都道府県労働局の雇用均等室などの相談機関に相談してください」とアドバイスする。

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