ウーバー「遅延急増」配達員も困る店側の"事情" 配達員不足で「わざと作るのを遅らせる」店も?
「待つ」よりも「次」にいく配達員の心理
一方で、配達員自身の判断も、遅延に影響してくるポイントだろう。
配達員は1店1顧客の配送方法だけでなく、2店2顧客や2店3顧客など「複数同時配送」を行っているケースが少なくない。
ダブルピックと呼ばれる2店2顧客の配送例がわかりやすい。もしもA店が意図的に調理開始時間を遅らせた場合、A店の食事は出来立てで提供できるが、B店の食事は時間が経ってしまう。つまりB店の食事を頼んだ顧客は、時間と美味しさ、ダブルで損をすることになる。
![数同時配送の依頼](https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/d/6/570/img_d66affed4c6ca43811ae3b8069046662457845.jpg)
あまり知られていないことだが、複数同時配送の際、配達員にルートの決定権はない。決められたルート順でしか住所や地図も表示されない。
よって配達員が「A店は調理に時間がかかるみたいだから、B店で受け取った商品を先に配達しよう」といった戦略を取ることはできない。そうなると、一部の配達員の中には「飲食店で待つよりも、新しい配送依頼を受けたほうが儲かりそうだな」と考え、配送依頼をキャンセルするケースも出てくる。
配達員の報酬は1件当たり300~500円前後が相場なので、1時間に3~4件ほどの仕事をこなさなければ「最低時給以下」の労働になるケースがある。これを回避したい配達員が、そそくさと見切りをつけ、次の仕事に行ってしまうというわけだ。
ちなみに配達員には「配達調整金額」と呼ばれる、加算型の報酬制度がある。ウーバー公式サイトによると、「通常の目安よりも交通状況が混雑している場合」「通常の目安よりも商品受け取り場所での待ち時間が長い場合」「配達パートナーの数が少なく通常よりも配達の需要が高い場合」に、配達調整金額が加算される場合があるという。しかし配達調整金額の具体的な計算式は開示されておらず、配達員の不満を生んでいる。
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