貨物列車の運転席「同乗取材」で見た乗務のリアル 青函トンネル通る、JRの長大編成コンテナ列車

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越谷から青森まで貨物を牽引するのはEH500形という電気機関車である。東北本線の電化方式は黒磯以南が直流、黒磯以北が交流であり、EH500形は交流・直流の両方に対応し、首都圏から青森まで一気通貫で走行することができる。

以前は青函トンネル内もEH500形が運行し、函館貨物駅まで結んでいた。ただ、2016年の北海道新幹線開業に伴い、青函トンネルとその前後の区間は新幹線と在来線の共用走行区間となった。EH500形は共用走行区間の電圧と保安装置に対応していないため走行できない。そのため、共用走行区間に対応したEH800形が新たに開発され、青森信号場でEH500形から付け替えられるのだ。

EH800形 JR貨物
今回同乗したEH800形電気機関車。新幹線と在来線の共用走行区間に対応した機関車だ(記者撮影)
【写真】通常は入ることのできないEH800形の運転席、どんなところ?

13時19分、3063列車は輸送障害による影響で定刻から12分遅れて青森信号場に到着した。すぐに機関車が付け替えられ、三橋運転士はEH500形の運転士と引き継ぎを済ませると、EH800形に乗り込んだ。添乗者も後に続いた。車内は暖房が効いており、暑くもなく寒くもなくといった温度。疑問の1つが解決した。

「声」であふれる運転室内

三橋運転士は機器類を逐一指差し、声を出しながらチェックを行う。「発車3分前」と三橋運転士が声に出すと、数秒後に「発車3分前です」という機械音声が車内に響いた。

これは「PRANETS(プラネッツ)」というJR貨物が開発した運転支援システムであり、運転士に発車、徐行などの予告を行う。三橋運転士が「発車1分前」と声に出すと、続いてプラネッツから「まもなく発車です」というアナウンスが流れた。プラネッツの予告どおりに作業していれば楽に違いないが、プラネッツの予告よりも先に声を出しているという点に、「機械頼みではない」という運転士のプライドを感じた。

「着発1番出発進行」の掛け声とともに、3063列車がそろりと動き出した。手元の時計を見ると13時38分。12分の遅れが解消されていた。列車は奥羽貨物支線、津軽線を通って新中小国信号場(青森県東津軽郡外ヶ浜町)へと向かう。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げ。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に定年退職後の現在は鉄道業界を中心に社内外の媒体で執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京交通短期大学特別教養講座講師。休日は東京都観光ボランティアとしても活動。

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