貨物列車の運転席「同乗取材」で見た乗務のリアル 青函トンネル通る、JRの長大編成コンテナ列車

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その後、北海道側の吉岡定点を通過した。竜飛定点と同様に明るく照らされていた。さらにE5系とすれ違い、トンネルに入ってからおよそ40分後、遠くに白い靄のようなものが見えた。トンネルの北海道側出口のすぐそばに川があり、外気との温度差で水蒸気が出ているのだ。幻想的な光だった。列車がトンネルを抜け出ると、北海道の大地は西陽で輝いていた。

青函トンネルの北海道出口付近は白い靄で包まれ幻想的だった(記者撮影)
【写真】シェルターを抜けるといよいよ北海道の景色。雪に覆われた北の大地は陽が差していた

北海道側では汽笛を鳴らす回数が増えたように感じられる。汽笛を鳴らす箇所は「運転取扱実施基準」に定められている場所のほか、運転士の判断で追加して鳴らす場所もある。

三橋運転士は「トンネル、作業員がいる場所、カーブの手前など横断者が列車を見にくい場所のほか、踏切がないのに線路を横切る人がいるような場所でも汽笛を鳴らしている」とのことだった。貨物列車同士のすれ違い時にも汽笛を鳴らす。これにはお互いの眠気防止対策という意味合いがあるようだ。

函館貨物駅には定時到着

右手に函館山が見え、さらに工場地帯を過ぎると、函館の市街地に入った。目まぐるしく変わる景色が楽しい。ただ、三橋運転士は「夜のほうが運転しやすい」。その理由は、「昼間は逆光などで標識が見えにくいことがあるから」とのことだった。

貨物列車 すれ違い
長い編成のコンテナ貨物列車(記者撮影)
【写真で再び見る】青森でのEH800形と貨車の連結作業、青函トンネルを通過する運転台からの風景、貨物列車とのすれ違い、そして五稜郭機関区到着まで

函館貨物駅に到着した列車は隣接する五稜郭機関区に移動した。手元の時計では16時27分。定刻どおりだ。乗務時間は2時間49分だった。

「乗務終了します」。三橋運転士が下車し、添乗者たちも後に続いた。3063列車はこの後、機関車を付け替え、16時50分に札幌貨物ターミナルに向けて出発する。函館でコンテナを下ろす作業はなく、すべてのコンテナが札幌に向かった。到着予定は22時。越谷貨物ターミナルを出発した0時20分から数えると21時間40分の長旅である。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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