日産・ホンダ「統合破談」で迎える三菱自の分岐点 単独路線の限界を認識、三菱グループに決定権

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2024年12月23日に開かれたホンダと日産自動車の経営統合に向けた検討の記者会見。この統合に「参画・関与」を検討するとした三菱自動車、加藤隆雄社長は当初この会見に出席しない予定だった(撮影:今井康一)

「焦る必要はない。我々の強みが生かせる形を見極めるだけだ」

ホンダと日産自動車の経営統合が破談濃厚となる中、三菱自動車工業の幹部はそうつぶやいた。

2社が協議していた経営統合に、三菱自は「参画・関与およびシナジー享受」の可能性を検討していた。1月末には検討結果を出す予定だった。が、2社の協議が進まないため、正式なスタンスを明らかにできないでいた。

結局、土台となる2社の経営統合が雲散霧消したことで、三菱自の先行きも不透明感が増している。

「参画の形」を決めるのは三菱グループ

もともと三菱自が2社連合に「参画・関与」することは既定路線で、もっぱら検討されたのは「どのような形」であるかだった。ホンダ、日産に倣うなら、持ち株会社の傘下に100%子会社となるのが自然だが、この案は早々に見切られていた。

というのも、三菱自に大きな影響を持つ三菱グループが持ち株会社方式に抵抗感が強かったからだ。

三菱自はグループの中核である三菱重工業の自動車部門を源流に持つ。現在も三菱商事が20%の株式を保有する大株主であり、重工や三菱UFJ銀行の出資も残っている。

三菱自の社外取締役13人のうち4人が商事や重工、銀行の出身者。営業担当の中村達夫副社長は商事、松岡健太郎副社長兼CFO(最高財務責任者)は銀行からの移籍組だ。とくに商事とは東南アジアを軸に販売やアフターサービスで強力な支援を受けており、歴史的にも人材面でも、事業上も関係が深い。

だが、持ち株会社での経営統合の場合、三菱自の時価総額はホンダの13分の1、日産の3分の1しかないため、同社株主の持ち株会社への出資率は6%程度にとどまる可能性が高い。つまり、持ち株会社に対する三菱グループの出資比率は1%台となり、経営への影響力を失ってしまう。しかも、上場するのは持ち株会社で、傘下の事業会社は上場廃止となる。

この点も三菱グループにとってネックとなったようだ。「三菱自に決定権はない」。ある三菱自幹部は率直にそう語っていた。

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