日産・ホンダ「統合破談」で迎える三菱自の分岐点 単独路線の限界を認識、三菱グループに決定権
「三菱ブランド」の重みも参画方式の検討に影響を与えた。「スリーダイヤ」のロゴは三菱グループの「三菱社名商標委員会」で厳しく規定されている。三菱自や三菱グループの幹部らから「資本関係がなくなってグループから外れれば、スリーダイヤのロゴは使用できなくなる」という声もあがっていた。
このため、日産が株式の27%を持つ現在の形で、2社の経営統合に「参画・関与」する方向で検討が進んでいた。が、結果的に検討は無駄になった。今後の焦点は日産の傘下のままでいつづけるか、別のパートナーを探す道を選ぶかだ。
北米と中国という2大市場で苦戦する日産は経営が揺らいでいる。当面は自主再建を目指すと見られるが、いずれにしろ大規模なリストラは不可避だ。資金繰りは厳しく、保有する三菱自株を手放す可能性は決して低くはない。
急遽決まった加藤社長の会見参加
三菱自にはホンダも秋波を送る。あるホンダ幹部が「スケールはないが、我々が持っていないアイテムを持っている」と関心があることを隠さない。「ホンダの狙いは日産ではなくもともとウチではないか」と語る三菱自幹部もいる。
「加藤社長も会見に出席してください」
複数の関係者によると、ホンダと日産が経営統合協議を発表した昨年12月23日の記者会見、当初の予定では三菱自の加藤隆雄社長は出席しないはずだった。経営統合へ向けた基本合意を結んだ2社と三菱自では置かれた立場は明らかに異なるうえ、海外出張も入っていたからだ。
しかし、海外出張は直前にキャンセルされ、会見のひな壇に加藤社長も並んだ。「(ホンダの)三部(敏宏)社長の強い意向が働いたようだ」という。
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ホンダと日産では商品や得意地域の重なりが多いのに対し、ホンダと三菱自では補完関係が成立する。ホンダの存在感が薄い東南アジア市場ではスリーダイヤのブランド力が根強い。
環境性と利便性で需要が広がりつつあるプラグインハイブリッド車(PHV)でもホンダが得意としていないのに対し、三菱自は旗艦車種「アウトランダーPHEV」を軸に競争力のある商品をそろえる。北米や新興国で人気のピックアップトラックもホンダが持たない製品領域を三菱自は持っている。
ホンダから見れば、アフターサービスやエネルギー領域で強みを持つ三菱商事の存在も三菱自の魅力の1つだ。
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