御上先生"ただの学園モノじゃない"圧巻の見応え これまでの学園ドラマとは一線を画している
そんな本作だが、放送された第3話までのなかで、従来の学園ドラマとはまったく異なる作風であることが示された。
ジャンルとしては、社会派サスペンスミステリーなのか。いまどきの高校生たちを、御上が並外れたIQと正論でねじ伏せながらも、現代社会で生きる力を養わせるべく、若者たちを導く教育ドラマの要素が各所にちりばめられている。
従来の学園ドラマフォーマットをリビルド
従来の学園ドラマには、定番フォーマットがあった。『3年B組金八先生』(TBS系)から『GTO』(カンテレ・フジテレビ系)、『ごくせん』(日本テレビ系)など熱血教師が不良生徒を導き、クラスが団結するのが王道ストーリーだ。
そこにスポーツの要素が入るパターンでは、『スクール☆ウォーズ』(TBS系)から『ROOKIES』(TBS系)、『ウォーターボーイズ』(フジテレビ系)がある。それぞれ競技は異なるものの、運動部を舞台にする生徒たちの団結と成長物語の系譜は長く受け継がれてきた。
これらに共通するのが、明確なスクールカーストによる生徒の区分けがあり、毎回それぞれの生徒たちの間でさまざまな問題が起きながらも、彼ら一人ひとりに寄り添う熱血教師によって、生徒たちがひとつにまとまっていく、明るくポジティブで前向きなドラマであることだ。
一方で、近年増えているのが、謎解きサスペンス要素をメインに据えたシリアス系の学園ドラマ。『3年A組―今から皆さんは、人質です―』や『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(ともに日本テレビ系)などは、本格的なサスペンスストーリーのなかで、毎話生徒たち個人の人間ドラマがフィーチャーされる。
そこでは、毎話の教師と生徒の1対1の芝居対決が見せ場となり、爪痕を残した生徒役俳優はそこから売れっ子になっていく。若手俳優の登竜門としての学園ドラマの役割は引き続き担っていた。
そんな学園ドラマのフォーマットをリビルドしようとしているのが本作だ。第3話までのなかでは、従来のように1話ごとに主役の生徒が代わるのではなく、複雑に絡み合うさまざまな要素のシークエンスのなかで、それぞれのキャラクターの立ち位置と役割が、事件のサスペンス要素と平行して描かれた。
ただ、そのなかでも生徒役の俳優たちの好演は光っている。ドラマの構造は変わっても、スターを生み出す装置としての役割は引き継がれているのかもしれない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら