さらに、新名神高速道路も、「大津~城陽」「八幡京田辺~高槻」の区間が未開通だが、こちらも遅れていて、後者は2027年度、前者は早くても2028年度とされている。
それぞれやむをえない事情があるため、安全を優先して工事が遅れるのを受け入れるしかないが、その背景に工事費の高騰や予想外のトラブルなどがあり、日本の公共的な土木工事の遅れが目立つ。
というのも、遅れているのは高速道路だけではないからだ。新幹線も、足踏み状態が続いている区間が多いのである。
2024年3月に敦賀までの開通にこぎ着けた北陸新幹線は、その先、大阪までのルートは今もって周辺の府県の間で合意に至っておらず、敦賀での新幹線と在来線の乗り換えがしばらく固定化しそうだ。
「遅れの理由」に注意すべき時代へ
佐賀県内の工事の見込みが立っていない長崎新幹線、トンネル工事などの遅れにより当初の2030年度の開通がほぼ困難となった北海道新幹線の「新函館北斗~札幌」間、そして2027年度の完成が見送られ、2034年以降の開通となったリニア中央新幹線「品川~名古屋」間……。
こうして見ると、単一区間の問題というよりも、日本のインフラ建設が行き詰まっているようにも見える。さらに、1月28日に埼玉県八潮市で発生した道路の陥没事故では、地中の下水道管の老朽化が一因とされているなど、既存のインフラの点検も急務だ。
少しずつではあっても延伸される高速道路は、地元に一定の経済効果や移動時間の短縮をもたらすだろう。しかし、それよりも大事な警鐘が、以上に挙げたインフラの整備のペースダウンを通して鳴らされているのかもしれない。
私たちは、「どこが新規に開通するか」ではなく、「どこの区間の開通に遅れが出ているのか」、そして「その理由は何か」にもう少し注意を払う必要がありそうだ。
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