ピューロランドの「ちゃんりお」とは何なのか サンリオ初の取り組みが異例の大ヒットに

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ピューロランド内でのちゃんりおイベントは、ちゃんりおメーカーのサイトとともに、8月末までの2カ月限定イベントだった。だが、好調な集客力とちゃんりお人気から、急遽、9月以降の継続を決定した。シルバーウィークで休日が多い9月だけに、ちゃんりおへの集客期待は大きい。

今年度の年間の入場者は93万人(昨年度84万人)と、直近で黒字だった2007年3月期の94万人に迫る、久々の90万人台を計画している。前年比7割増という7月の快進撃が続けば、計画の達成、さらには黒字化も見えてくる。

ライセンスビジネスで飛躍なるか

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キャラクターがプリントされたクリアファイル

ちゃんりおメーカーは、ピューロランドへの集客だけにとどまらない。サンリオが得意とするキャラクターライセンスビジネスの展開も、着々と準備を進めている。

まず、ライセンシーと協力し、年内にもオンデマンドでちゃんりおのグッズ販売を開始する。各人が作成したちゃんりおのグッズだけでなく、AKB48のちゃんりおキャラクターを使ったオリジナル商品も展開する予定だ。同グループとはちゃんりおとのコラボイベントも計画している。

B to Bのビジネスも検討中だ。似顔絵のキャラクターという位置づけを生かし、営業マンなどの名刺へのちゃんりおの活用や、ステーショナリ-など法人ギフトでの展開を狙う。また、来店すれば特別なちゃんりおの着せ替えパーツが入手できるなど、小売店や外食などに向けた販促用のサービス提案なども進める考えだ。

「ちゃんりおはあくまでピューロランドに人を呼び込む仕掛けで、それ以上は考えていなかった」(サンリオ)。うれしい誤算は、海外ビジネスにも広がる可能性も高い。

ちゃんりおメーカーは日本語のサイトだが、利用者の実に3割がアジアや米国をはじめとした外国人だ。「アナと雪の女王」や「スター・ウォーズ」など競合キャラクターに押され、サンリオの欧米ライセンスビジネスはやや低調だが、ちゃんりおがその停滞感を打破する起爆剤になるかもしれない。

鈴木 良英 東洋経済 記者

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すずき よしひで / Yoshihide Suzuki

『週刊東洋経済』編集部記者

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