人質解放「33対2000」を受け入れたイスラエル 自国の治安リスクよりも自国民の奪還を優先

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残された人質の中には、生存している成人女性は少なくともあと7人いるとみられている(うち5人が女性兵士)。キブツ・ニール・オズから拉致された2人の子どもアリエル・ビバス君(5)とクフィール・ビバス君(1)は今も帰還していない。

ハマスは33人の解放予定者リストを公表しているが、父ヤルデンさん(34)と母シリさん(32)とともに、ビバス一家4人は全員リストに記載されている。ただ、解放する順番は不明で、前日の金曜日ごとにハマスがリストを提出することになっている。

停戦・人質・囚人交換の概要

今回カタール、アメリカ、エジプトを介して合意に至った「停戦および人質・囚人の交換に関する協定」の概要は次のとおりである。

▋第1段階(42日間)
【戦闘の休止と支援物資】
・双方の軍事行為を一時停止する。
・上空からの監視を毎日10時間停止する(人質解放日は12時間)。
・IDF(イスラエル国防軍)の段階的撤退とガザ住民の帰還。
・人道支援物資の搬入(毎日トラック600台)。
【人質と囚人の交換】
・解放対象の人質33人は、女性(兵士を含む)、子ども(19歳未満の非兵士)、成人男性(50歳以上)、病傷者(非兵士)。
・ハマスが女性および子どもを1人解放するごとに、イスラエル刑務所に収監されているパレスチナ囚人30人(女性および子ども、ハマスが指定)をイスラエルが釈放する。
・ハマスが成人男性を1人解放するごとに、イスラエル刑務所に収監されているパレスチナ囚人50人(残る刑期が15年未満の成人および病人、ハマスが指定)をイスラエルが釈放する。
・ハマスが女性兵士を1人解放するごとに、イスラエル刑務所に収監されているパレスチナ囚人50人(終身刑の30人および残る刑期が15年未満の20人、ハマスが指定)をイスラエルが釈放する。ただし第2段階で論じられることが合意されたパレスチナ囚人(少なくとも100人)は除く。
・釈放された囚人のうち、合意された人数は国外あるいはガザに移送される。
【人質・囚人交換の手順】
・停戦初日、ハマスは3人の女性民間人を解放し、7日目に4人の女性を解放する。その後女性(民間人および兵士)から順に、7日毎に3人を解放する。
・ハマスは生存している人質から順に解放し、その後に亡くなった人質の遺体を引き渡す。
・6週目にハマスはこの段階に含まれる残りの人質全員を解放し、イスラエルは刑務所に収監されている囚人(ハマスが指定)のうち合意された人数を釈放する。
・ハマスは各7日目までに解放する人質の情報を伝える。
・6週目にイスラエルはシャリート取引で釈放された後に再逮捕されたパレスチナ囚人47人を釈放する。
・6週目にイスラエルは、2023年10月7日以降に逮捕したすべての女性および子ども(19歳未満、非戦闘員)を釈放する。
・本段階で解放される生存人質が33人に満たなかった場合、ハマスは欠けた人数を亡くなった人質の遺体で埋め合わせる。
・イスラエルは釈放したパレスチナ囚人を、同じ容疑で再逮捕してはならない。
・釈放されるパレスチナ囚人について、釈放の条件は設けられない。
【ガザ地区の支援】
・国連および関連機関はガザ地区全域で人道支援を行う。
・戦争によって破壊されたガザ地区内の住居、民間施設、公共インフラなどの復興や負傷者への支援は、エジプト、カタール、国連などの国や機関の監督下で開始される。
・ハマスが女性兵士全員を解放した後、ラフィアフ検問所を越えて治療を受けられるハマスの負傷戦闘員の人数が決定される。
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