「フジCM差し替え」を"英断"と称える人への違和感 企業がCMを差し替える真の狙いは"制裁"ではない
1月17日のフジテレビ・港浩一社長の記者会見の翌日、同局のテレビCMに異変が起きた。トヨタ自動車や日本生命保険などの大手スポンサー企業が放映を見合わせ、ACジャパンのCMに差し替わったのだ。
筆者は、2016年までの約20年間、広告業界に身を置いてきたが、このような事態は前代未聞のことだ。なぜこのようなことが起きてしまったのだろうか? 今後、CM撤退の「ドミノ現象」は起こるのだろうか(現時点では、「撤退」ではなく「差し替え」の段階)。
そして、フジテレビはこの流れを止めるために何をしなければならないのだろうか。
なぜCM差し替えが「前代未聞」なのか?
「前代未聞の事態」と述べたが、ジャニー喜多川氏の性加害問題によるジャニーズタレント(当時)の相次ぐ契約終了、松本人志氏の性加害疑惑による松本氏出演番組のCM差し替えなど、似たような現象は最近でも起こっている。
ただし、今回のケースはこれらとは状況が大きく異なっている。
ジャニーズ問題の場合は、テレビ局ではなく、芸能事務所の不祥事であるし、疑惑が発覚した段階では、タレント契約は打ち切られなかった。契約終了のラッシュが起きたのは、旧ジャニーズ事務所が性加害の事実を公式に認めた直後のことだ。
松本人志さんの場合は、所属事務所の吉本興業は対応の不備こそあったが、松本さん個人が起こした問題である。スポンサー企業のCMがACジャパンのものに差し替えられるという現象はこのときも起きたが、松本さんが出演する番組についたスポンサーに限定しての話である。
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