「タイミーおじさん」平気で使う人たちの危うさ 事業者による「ドタキャン」はなぜ許されるのか

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スキマバイト最大手のタイミーの規約を見ると、「契約締結について」という項目で「業務当日のQRチェックインが契約締結にあたります」との記載がある。ワーカーが勤務日に職場まで行き、所定のQRコードを読み込んだ時点で初めて契約が成立するのだという。つまりそれより前は雇用契約自体が存在しないということだ。

労働契約法とタイミーの規約とのズレ

しかし、労働契約法によると、労働契約は使用者と労働者の合意によって成立する。その解釈に従うなら、スキマバイトもマッチングの時点で契約締結とみなすべきではないか。現状のままでは通勤中に事故に遭っても労災が適用されないということになる。

ちなみにキャンセルポリシーはアプリによって違うが、タイミーでは、事業者側のキャンセルは業務開始の24時間前まで可能。当日のキャンセルについては「交通費・報酬金額の一部補償をお願いしております」とある。ただタカヒコさんによると、前日の深夜に届いたキャンセル通知に、勤務直前に初めて気が付くことも少なくない。補償を得るには、ワーカー自身がカスタマーサポートに問い合わせをする必要がある。周囲では泣き寝入りをするワーカーのほうが多いという。

タイミー
事業者がマッチングをキャンセルすると届くメール。ワーカーにとっては深刻な雇用機会の喪失である。タカヒコさんは「直前のキャンセルの場合は、給料は全額補償というルールをつくるべきだ」と訴える(筆者撮影)

一方でワーカー側のキャンセルは業務開始の48時間前からペナルティポイントが発生。8ポイントに達すると一定期間アプリの利用ができなくなる。キャンセルのルールは事業者側に甘い。「事業者ファースト」というタカヒコさんの指摘は言い得て妙だ。

タカヒコさんはこのほかにも、事業者から勤務時刻より前の「早出出勤」や、終了時刻前の「早上がり」を命じられた際にその分の賃金が払われなかったり、休憩時間が取れなかったりといった経験もした。また、「女性限定」「10-30代男性」など性別や年齢を限定した不適切な求人もたびたび見かけ、そのたびにアプリ側に通報しているという。

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