ヤギ5頭飼って知った「意外と戦闘的」な食事風景 「頭突きで草の争奪戦」見守る日々をイラストで

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トラックの荷台に山盛り積んできた餌を私が両手で抱え、何往復もしてヤギ舎に運び入れるのであるが、まずは一番大きな角を持つ茶太郎が最初に駆け付け、一番美味しそうな草や枝に齧り付く。

もし誰か他のヤギが先に駆け付けていたとしても、頭突きして追い払って最新の食事を一番に摂る。カヨは群れのリーダーなのだが、純粋な喧嘩では茶太郎に敵わないので、一歩引いた形で次点の立ち位置を確保する。

たいてい1回目に持ってきた草は、茶太郎とカヨに占有され、他の3頭は頭突きされないような角度から首を伸ばして草をつつこうとする。玉太郎などは私の脇をすり抜けて外に走り出て、軽トラの荷台に飛び乗って抜け駆け早食いを決め込む。

(画像:『私はヤギになりたい』より)

早く第2の山を持ってきてやろうと、軽トラに戻り荷台から玉太郎を引きずり降ろす。草や枝を両手いっぱい抱えてヨタヨタ速足でパレス(編集部注:カヨを筆頭にヤギたちが暮らすビニールハウス:通称カヨパレス)に入ると、茶太郎とカヨはすぐに目移りして新しい草に群がろうとする。どっちも食べようとするのだ。

シェアの精神皆無だ。だからこそ第2の餌場は少し離れたところにして、銀角や雫が食べていても茶太郎たちの攻撃を受けにくいように工夫しなければならない。

バイキング形式といえなくもないか

こうして餌の束を離れ離れに5つ、地面に触れないように枯れ枝を山にした上に載せる。それでも茶太郎はあっちもそっちもいやこっちにも美味しい草があるかもしれぬと欲深く駆け回るので、そのたびに誰かが押し出され、別の餌場に移って誰かを追い出す。

そうして結局全員が餌場をぐるぐる駆け回りながら食べるのである。会食ならぬ回食。バイキング形式といえなくもないか。じつにせわしない。

玉太郎は角がないために5頭の中でも弱い立場にあることも手伝い、この頭突きゲームのような食事から抜け出して軽トラに乗り込んでくるのだ。とても賢いけれど、餌を全部積み下ろす頃にはパレスにもどって頭突き食事会の輪に参加しなければならない。とまあそんな具合で餌場が広範囲に点在するために屋根をつけることが難しいのだった。

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