ヤギ5頭飼って驚愕「搾乳」のとんでもない苦労 『アルプスの少女ハイジ』のペーターはすごい
乳搾りは楽じゃない
ヤギを飼っていると言うと決まって聞かれるのが「乳はとれるのか」である。人間を含めた哺乳類すべて、まずは「産後」の状態を作ってやらないと、乳は出てくれない。
そんなの当たり前だろうと思っていたけれど、都会の人はもちろんだが、ヤギを飼ったことがある島の人すらよくわかっていない人が少なくない。雌の成獣なら常にミルクを出すものだと思っている人もいる。牧場で毎日搾乳する光景が記憶にあるからだろうか。
カヨは合計4回出産しているので、そのたびに乳をとった。これが想像以上に茨の道であった。まずカヨは乳房に触られるのを本気で嫌った。手加減なしの鋭い頭突きをかましてくるので、足が痣だらけになったものだ。
産後1カ月は赤ちゃんたち(3回は2頭、最後の1回は1頭産んだ)にふんだんに飲ませようと様子を見ているのだけれど、まだ身体が小さいために飲んでも飲んでもカヨの乳房はパンパンに膨れている。乳が飲まれず滞留すると乳腺炎になるのは人間と同じだ。張り詰めて痛くなるらしい。あまりにもパンパンな状態ならば、少し搾りましょうかと提案してみる。もちろん却下される。
そこで半強制的に搾ることができるように、カヨ一頭がギリギリ入る木枠を作り、中に入れて繫いだ。これで頭突きは免れる。それから御馳走の草をたっぷり用意して食べさせつつ、片手にコップを構え、片手で乳房を握るのだ。
最初のうちは全然搾れなかった。カヨはイライラして暴れ始める。ヤギの乳房は後ろ脚の間に2つついているので、後ろ脚を動かしてミルクが溜まったコップの中に入れたり、コップを蹴り飛ばしたりする。
頭の中で『アルプスの少女ハイジ』のペーターが高笑いしている。ペーターはたしかヤギのおっぱいの下に寝転んで自分の口に向かって乳を搾って直飲みしていた。子ども心に凄いなあと思ったものだが、カヨの乳を搾るようになってからは心の底から尊敬している。
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