「副業は可能ですか?」入社前から問う若者の盲点 副業で成功する人・失敗する人の違いとは?
キーワードは「本業がおろそかになっちゃう」という部分だ。とくに仕事がうまくいかないまま副業を始める人は、時間を切り売りする「代行業」のような仕事になりがちである。
たとえば深夜に内職のような業務を請け負ったり、SNSの運用代行を低単価で引き受けたりといった具合だ。長時間労働の割に低い報酬しか得られないことが多い。
このような副業を選んだ場合、当然ながらやりがいは感じにくいし、大きなスキルアップにもつながらない。長い時間をかけても収入はごくわずか。睡眠不足のまま本業に向かうようになれば、ますます本業のパフォーマンスが落ちていく。
結局は「どちらつかず」になり、成果も評価も得られない悪循環に陥ってしまう。まさに「二兎を追う者は一兎をも得ず」である。
「大学時代に起業した経験があります」
「社会人になる前から、3社の顧客がついています」
こんな実績があるならともかく、まだ一度も働いてもいないのに「副業ありき」で社会に出るだなんて、あり得ないのだ。
仕事ができない人は総じて「自己研鑽」に力を入れていない。たとえば自分の専門領域を高めるための勉強をおろそかにし、時間だけを切り売りする仕事を増やしてしまう。
さらに忙しさにかまけて「勉強する時間がないのだから仕方ない」と考え出すと、会社で求められるスキルの習得もおろそかになり、同僚との能力差が広がっていく。
特に昨今は「人的資本への投資」が重視される世の中だ。会社側が教育に力を入れてくれているのに、その機会を台無しにするような社員なら評価も落とすことだろう(たとえ成果評価が高くても、能力評価が落ちるリスクがある)。
このように会社からは評価されず、副業でも大した収入を得られず、結局どちらにも注力できなくなるというわけだ。それに、たとえうまくいったとしても、副業を5年、10年と長く続けることは難しいのが現実。結局はどこかで頓挫してしまうケースが多い。
お金を稼ぐことは簡単ではない
冒頭で紹介した「いつから副業できますか?」と聞いた内定者は、何を理解できていなかったのか。
それは「お金を稼ぐことの大変さ」である。私は20年近く営業コンサルタントをしてきた。だから断言できる。どんなに優れた自社商品であっても、売るのは簡単ではない。一度でも営業を経験した人なら、その難しさを痛感しているはずだ。
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