アップル、Siri訴訟の「和解金」が起こした波紋 「プライバシー保護」を声明で改めて強調

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デフォルトの設定では、Siriが録音した音声や音声入力のやり取りは保存されない。デバイスを使い始める時の設定で、Siriの音声や音声入力のやり取りの保存や確認をAppleに許可することで、Siriの向上をサポートすることができるが、この設定はいつでもオフにできる。これらの音声サンプルは個人を特定できないランダムな識別子に関連付けられている。またこれらは、Siriの設定画面から、いつでも削除することができる。

Siri
SiriとApple Intelligenceの体験を最適化するために、音声データはデバイス内に保存されているが、それもいつでも任意に削除できる(筆者撮影)

Appleがプライバシーを守ると信じられる理由

もちろん、我々はiPhoneの細部まで自分で見ることはできないし、プログラムの細部まで確認することはできない。企業の説明を信じるか、信じないか、しかない。

しかし、AppleはGAFA企業の他の3社、Google、Facebook、Amazonと違って、唯一広告をビジネスの中心に据えておらず、ハードウェアの販売によって収益を得ている企業だ。

そして、他の3社が、収集したデータをマーケティングに使っていることを批判することで、差別化を図ろうとしている。「Appleはあなたのプライバシーを大切にしています」というのは、Appleの重要なメッセージだ。

そのために、セキュリティエングレーブをはじめ、さまざまな仕組みを構築し、「Apple自身さえもユーザーのプライバシーを侵害できない」ように設計を行っている。

Apple
Appleはプライバシーを自らの強みとしてアピールしている(写真:Apple)

それだけに、「会話していた商品がその直後に広告として表示された」ということをもって、アップルを訴えるのは少々無理があるように思う。

しかし、集団訴訟というカタチで多くの人を巻き込めば、訴訟を継続するほうが高コストになるという不可解なことがアメリカの法制度では起こってしまう。コスト負担はiPhoneの価格上昇という形でユーザーに戻ってくる一方、訴訟に関わった弁護士には莫大な利益(報酬)が得られるというわけだ。

村上 タクタ 編集者・ライター

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むらかみ たくた / Takuta Murakami

iPhone、iPadなどアップル製品を中心に扱うガジェット・テクノロジー系編集者・ライター。カリフォルニアでのWWDCやiPhone発表会には2016年頃から継参加。趣味の雑誌の編集者として、’92年から約30年で約600冊の雑誌を作ってきた。バイク雑誌『ライダースクラブ』に携わり、ラジコン飛行機雑誌『RCエアワールド』、海水魚とサンゴ飼育の雑誌『コーラルフィッシュ』、デジタルガジェットのメディア『flick!』『ThunderVolt』の編集長を務める。HHKBエバンジェリスト、ScanSnapアンバサダー。バイク、クルマ、旅、キャンプ、絵画、庭での野菜作り、日本酒、ワインと家族を愛する2児の父。娘はロンドン、息子は台湾在住。

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