住所非公開「ロールス・ロイス」特注専門の新業態 自分だけの1台を作るプライベートオフィス
「超」がつくほどの高級車の世界では今、自分好みの車両を仕立てることがトレンドです。それもできるだけ“凝ったやり方”で――。
そう説明するのは、ロールス・ロイスだ。2024年11月にソウルで、ビスポーク(特注)ビジネスが伸びている背景と、そこに商機を見いだしている背景を聞いた。
ドバイの富豪が父に贈った「パール・カリナン」
同社はいま、「プライベートオフィス」なるビジネス形態を展開中だ。これがまことにロールス・ロイス的で、世界に1台しかない車両を仕立てたい人が訪れてくる。
しかし、その人たちの希望は、“他人と違ったクルマ”を作ることが目的ではないそうだ。
「自分(だけ)にとって意味のある車両がほしい、というクライアントのためのサービスがプライベートオフィスです」
ロールス・ロイス・モーター・カーズのクリス・ブラウンリッジ最高経営責任者はそう語り、「パール・カリナン」に言及する。
それは、本社以外で世界で初めて開かれたプライベートオフィスである、ドバイで受注した車両だ。真珠で財を成した一家が、90歳になる父親に「特別なカリナンを誕生日プレゼントに贈りたい」と注文してきたのだという。
ドバイのプライベートオフィスでは、本社の技術部門と協議を重ねながら入念な耐候テストを行い、中東の太陽光線でも褐色しない「パールローズ」なる特別な塗色を作った。
インテリアも各所にパールローズを使い、さらに後席乗員用のテーブルには、家族から提供を受けたマザー・オブ・パールを1351個ずつ、左右にはめこんだという。これだけの数は、ロールス・ロイスにとっても初だったそうだ。
「プライベートオフィスの仕事は、単に美しいクルマ、希有なクルマを仕立てることではありません。クライアントの要望にしたがって、その人にとってもっとも価値のあるクルマを作りあげることです」(ブラウンリッジ最高経営責任者)
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