止まらないユーロ安 欧州危機が日本を襲う
「ユーロは今年前半、2000年10月につけた最安値の88円台を目指す」。市場では一段のユーロ安観測が増えつつある。
「13日の金曜日」の国債格下げラッシュに続き、今後も2~4月にイタリアなどの国債大量借り換えを控えている。ギリシャの債務削減交渉や総選挙の結果次第では「無秩序なデフォルト(債務不履行)」に陥る懸念すらある。
「現状では今年のユーロ圏はマイナス1%成長と見るが、政策対応次第ではリーマンショック後の08~09年のように2年間でGDP(国内総生産)が6%程度急落する可能性も否定できない」と、野村証券経済調査部長のポール・シェアード氏は語る。ユーロ急落は、こうした景気悪化リスクと欧州中央銀行(ECB)による追加金融緩和を織り込む動きといえる。
GDP4%分の影響も
欧州危機は当然、日本へも影響を及ぼす。一つは貿易取引への影響だ。
日本のEU向け輸出額の全輸出に占める比率は約11%。15%台の米国向けや19%台の中国向けと比べ小さい。また、貿易取引におけるユーロ建て決済額は輸出超過だが、ドルや円に比べて決済のシェアは極めて小さい。精密機器業界など局所的な影響は大きいものの、日本経済全体としては欧州景気が大幅な後退に陥らないかぎり、直接的影響は限定的との見方が多い。