ガザで「光」を見たイラク人10年ぶりの救出劇 ユダヤ教の「ハヌカ」を期に振り返る苦難の物語

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燭台に点火する際、次の祈りが唱えられる。

われわれの父祖たちの時代に
そしてこの時にも
貴神(あなた)が行なわれた
奇跡と不思議と救いと戦いに因み
われわれはこれらの灯火を灯す

 

「この時」というのは、今われわれが生きている時代を指す。遠い昔の神話ではなく、神は今もわれわれを救ってくださると信じている。そして、「マオーズ・ツール」(岩なる砦の意、神を指す)という詩を皆で歌う。

マオーズ・ツールには、ユダヤ人が受けてきたさまざまな迫害の歴史が綴られている。エジプトのファラオから始まり、バビロニア、ペルシア、ギリシア、ローマと各時代にさまざまな迫害を受けてきたが、ユダヤ民族は神の保護下で辛くも生き延びてきた。その神の御業を讃え、最後の節は次のように締めくくられる。

あなたの聖なる御腕を現し、救いを近づけ給え
邪悪な民族に対して、あなたの僕の仇を討ち給え
時は長く、邪悪な日々に終わりが来ないからだ
死の陰の中で敵を打ち倒し、7名の牧者を起こし給え

ガザから救出されたヤズィディ教の女性

ハヌカ祭は「光の祭典」とも呼ばれる。現代も繰り返されるユダヤ人への迫害に対し、神の光を照らして邪悪な闇を駆逐してくださいと祈るのである。

ここに1つの事件を紹介したい。2024年10月初旬、ガザから1人の女性が救出された。名前はファウジア・アミン・シドさん、21歳。イラクのシンジャール地方に住んでいた女性である。なぜイラク人がパレスチナのガザで「救出」されたのか。

イスラエルの複数メディアが報じ、イギリスの日刊紙『The Sun』が当人のインタビューを踏まえ、詳細を報じた。

ファウジアさんはヤズィディ教徒だった。ヤズィディとは、イラク北部に住むクルド系の民族宗教である。彼らを“邪教”と見なすIS(イスラム国)は2014年8月、シンジャール地方を襲撃し、5000人以上の男性を虐殺し、1万人以上の女性や子どもを奴隷として連れ去った。

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