財政政策や税制が政治の主要争点となっている点は、日本も同様である。「国民民主の要求が実現しないなら日本は後進国だ」(12月10日配信)でも述べたが、国民民主党が主張する基礎控除引き上げなどの減税は、実際にはインフレ率に応じた必然的な政策措置にすぎない。
だが、これに自民・公明の政権側は所得税が課される年収の最低ラインである「103万円の壁」の見直しについて、123万円への引き上げを明記したものの、国民民主党が主張する178万円との差は依然大きく、歯止めをかけようとしている。
この点の与野党の折衝の行方は流動的だが、自民党の案である123万円への引き上げに、日本維新の会が教育無償化政策の前進などを条件に賛成する方向でまとまるとの観測もある。
筆者は当初、世論の支持を得た国民民主党による「正論」に、自民党は抗せないだろうと予想していた。だが、日本維新の会が新たなプレーヤーとして割り込んでくる予想外の展開になった。
有権者は「経済成長阻害勢力」に賢明な行動をすべき
日本経済復活を妨げている大きな要因は、保守的な財政政策が続いていることである。このため、財政政策が不十分だったがゆえに世論の支持を失い岸田政権は退陣を余儀なくされた、と筆者は総括している。石破政権は同様の財政政策を続けるとみられ、このままでは2025年の日本経済には引き続き期待ができないだろう。
さらに、政治的な独裁体制が強まる中国では、民意に沿った適切な経済政策は行われているようには見えない。アメリカのトランプ次期政権による関税引き上げ競争を仕掛けられる中国は、経済停滞とデフレがより深刻になるのではないか。この点が、中国関連ビジネスに依存する企業が多い日本株市場にとって最も大きなリスクになる、と筆者は警戒している。
今後も米中の覇権争いは続くとみられるが、アメリカをリーダーとする民主主義陣営が、この争いに勝利できるかはまだ判然としない。ただ、アメリカと同様に、日本とドイツにおいて民意に沿った経済政策が適切に行われれば、日独の経済成長が高まり、そして民主主義陣営がより優位になるだろう。
日本では、10月の総選挙における国民民主党の躍進をきっかけに、日本経済の成長を阻害しようとする政治勢力が可視化されている。これは政治家の資質を見定める絶好の機会である。
一方で、言うまでもないが経済停滞が続く中国の政治体制では、民意を反映させる権利を一般国民は有していない。こうした、日中の対照的な政治情勢の違いをよく理解して、われわれ有権者は賢く行動するべきである。
(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)
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